過重な負担の判断基準とは|考慮要素・判断の進め方・断る場合の注意点・記録の残し方まで解説

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過重な負担の判断基準とは|考慮要素・判断の進め方・断る場合の注意点・記録の残し方まで解説

Inclusive Work 編集部

過重な負担の判断基準とは|考慮要素・判断の進め方・断る場合の注意点・記録の残し方まで解説

「過重な負担」とは、障害者への合理的配慮を提供することで事業主に過大な負担が生じる場合を指し、その判断は事業活動への影響の程度、実現困難度、費用・負担の程度、企業の規模、財政状況などを総合的に考慮して個別に行います。負担が重いと判断できる場合でも、配慮を一律に断るのではなく、本人との話し合いを通じて代替案を検討することが求められます。

本記事では、判断の考慮要素、判断の進め方、記録の残し方を、採用・人事担当者の実務に沿って整理します。

過重な負担の判断基準とは|考慮要素・判断の進め方・断る場合の注意点・記録の残し方まで解説の要点まとめ

過重な負担とは何か:合理的配慮との関係

障害者雇用促進法では、事業主に対し、障害のある労働者が能力を発揮できるよう、募集・採用時および採用後の職場で合理的配慮を提供することを義務づけています。ただし、その配慮が事業主にとって「過重な負担」となる場合は、提供義務の対象外とされています。

ここで重要なのは、過重な負担は「配慮をしない理由を作るための言葉」ではないという点です。過重な負担に当たるかどうかは、個々の事案ごとに、具体的な事情を踏まえて判断されるものであり、あらかじめ一律の金額や基準で線引きできるものではありません。

また、障害の種類や程度、必要な配慮の内容は個人差が大きく、同じ障害名であっても求められる配慮は異なります。「この障害だからこの配慮は無理」といった一括りの判断は避け、必ず本人の状況に即して検討する必要があります。

判断で考慮される主な要素

厚生労働省の指針では、過重な負担かどうかを判断する際に、次のような要素を総合的に考慮するとされています。

  • 事業活動への影響の程度(業務や生産・サービス提供にどの程度支障が出るか)
  • 実現困難度(物理的・技術的な制約、人的体制の制約など)
  • 費用・負担の程度(配慮にかかる費用が、企業にとってどの程度の負担か)
  • 企業の規模
  • 企業の財務状況
  • 公的支援の利用可能性(助成金や支援機関の支援を活用できるか)

特に見落とされがちなのが最後の項目です。費用が大きく見える配慮でも、公的な助成制度や支援機関の支援を活用すれば、実質的な負担が軽くなる場合があります。負担の有無を判断する前に、利用できる支援を確認することが実務の第一歩です。

同じ配慮内容でも、大企業と中小企業では負担の重さが異なる可能性があります。企業規模や財務状況が考慮されるのはそのためで、他社の事例をそのまま当てはめるのではなく、自社の状況に照らして検討することが大切です。

実務での判断の進め方

実際に配慮の申し出を受けたときは、次の流れで進めると判断のばらつきを抑えられます。

  1. 本人から、困りごとと希望する配慮の内容を丁寧に聞き取る
  2. 配慮の目的(何ができるようになるのか)を整理する
  3. 実施した場合の費用、業務への影響、体制面の課題を洗い出す
  4. 助成金や支援機関の活用可否を確認する
  5. 人事・現場責任者・必要に応じて産業医などで協議する
  6. 結論と理由を本人に説明し、必要なら代替案を提案する

申し出どおりの配慮が難しい場合でも、目的を満たす別の方法(代替措置)がないかを本人と話し合うことが重要です。たとえば、専用機器の購入が負担になるなら、レンタルや既存設備の設定変更、業務の分担方法の見直しといった選択肢が考えられます。

判断にあたっては、現場担当者の感覚だけで結論を出さず、人事部門が窓口となって基準を揃えることが望まれます。あわせて、地域の障害者就業・生活支援センターやハローワーク、JEEDの地方機関などに相談できる体制を把握しておくと、判断の根拠を補強できます。

過重な負担を理由に断る場合の注意点

検討の結果、配慮の全部または一部の提供が難しいと判断した場合でも、その結論を伝える際の対応が重要です。

配慮を提供できない場合は、その旨と理由を本人に具体的に説明し、実施可能な範囲で別の対応を提示することが求められます。「前例がない」「他の社員との公平性」といった抽象的な理由だけでは、十分な説明とはいえません。

また、一部でも実施できる配慮があれば、まずそれを提供することが望ましい対応です。全か無かで考えるのではなく、段階的に実施する、試行期間を設けて効果と負担を確認する、といった進め方も有効です。

本人との間で認識が食い違い、解決が難しい場合には、社内の相談窓口や、都道府県労働局の紛争解決援助といった制度を利用する道もあります。事前に社内の対応フローを整備し、担当者が孤立しないようにしておきましょう。

判断の記録と社内体制づくり

過重な負担の判断は、後から経緯を説明できることが重要です。検討の過程を記録として残しておくと、本人への説明や社内の引き継ぎ、将来の同種の相談に役立ちます。

記録しておきたい項目は、本人の申し出内容、検討した配慮の選択肢、各選択肢の費用と業務への影響、確認した助成金や支援機関、協議の参加者、結論と理由、提示した代替案です。判断の根拠と過程を文書化しておくことが、恣意的な判断を防ぎ、本人にも納得してもらいやすい対応につながります。

あわせて、配慮の申し出を受け付ける窓口、協議の進め方、記録様式を社内規程やマニュアルとしてまとめておくと、担当者が変わっても判断の質を保てます。法定雇用率は2.7%(常用労働者37.5人以上の事業主が対象)であり、対象となる事業主は今後も配慮の実務に向き合う機会が増えると考えられます。最新の指針や事例は、厚生労働省やJEEDの公開情報で定期的に確認してください。

出典・参考情報

よくある質問

過重な負担に当たるかどうかに、明確な金額の基準はありますか。

一律の金額基準はありません。事業活動への影響、実現困難度、費用・負担の程度、企業規模、財務状況、公的支援の利用可能性などを総合的に考慮し、個別の事案ごとに判断します。

過重な負担だと判断した場合、配慮を全く提供しなくてもよいのですか。

全面的に断るのではなく、本人と話し合い、実施可能な範囲での配慮や代替案を検討することが求められます。配慮を提供できない場合も、その理由を具体的に説明する必要があります。

中小企業でも配慮の提供は必要ですか。

合理的配慮の提供は事業主の義務であり、企業規模にかかわらず対象となります。ただし、過重な負担かどうかの判断では企業規模や財務状況が考慮されるため、個別の状況に応じた検討が行われます。

判断に迷ったときの相談先はどこですか。

ハローワーク、地域の障害者就業・生活支援センター、JEEDの地方機関、都道府県労働局などに相談できます。障害の状況や必要な配慮は個人差が大きいため、専門機関の意見も参考にしながら検討することをおすすめします。

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