障害者差別禁止指針のポイント|差別的取扱いの範囲・例外・合理的配慮の提供義務・人事担当者の体制整備まで解説

制度・法律・助成金

障害者差別禁止指針のポイント|差別的取扱いの範囲・例外・合理的配慮の提供義務・人事担当者の体制整備まで解説

Inclusive Work 編集部

障害者差別禁止指針のポイント|差別的取扱いの範囲・例外・合理的配慮の提供義務・人事担当者の体制整備まで解説

障害者差別禁止指針とは、障害者雇用促進法に基づき、募集・採用から配置・賃金・教育訓練・退職まで雇用の全場面で障害を理由とする不当な差別的取扱いを禁じ、合理的配慮の提供を事業主に求める厚生労働大臣の指針です。

企業規模を問わず全ての事業主が対象となるため、採用・人事担当者は「何が差別にあたるか」「どこまでが合理的配慮か」を押さえておく必要があります。

障害者差別禁止指針のポイント|差別的取扱いの範囲・例外・合理的配慮の提供義務・人事担当者の体制整備まで解説の要点まとめ

障害者差別禁止指針とは何か

障害者差別禁止指針は、障害者雇用促進法に基づいて厚生労働大臣が定めた指針です。雇用の分野で、障害者であることを理由とする差別を禁止し、事業主が講ずべき措置を具体的に示しています。

この指針の大きな特徴は、法定雇用率の対象となる企業だけでなく、従業員数にかかわらず全ての事業主が対象になる点です。法定雇用率の対象は常用労働者37.5人以上の事業主ですが、差別禁止と合理的配慮の提供義務はそれより小規模な企業にも及びます。

指針は「差別の禁止」と「合理的配慮の提供」の二本柱で構成されています。前者は障害があることだけを理由に不利に扱わないこと、後者は障害のある方が能力を発揮できるよう個々の状況に応じた調整を行うことを指します。

採用担当者は、この指針を採用基準や社内規程を見直す際のチェックリストとして活用できます。

禁止される差別的取扱いの範囲

指針では、募集・採用、賃金、配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、職種の変更、退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新といった雇用管理の各段階での差別が対象となります。

たとえば、募集時に「障害のない方に限る」と条件を付けること、障害があることを理由に面接すら行わないこと、同じ職務なのに障害者のみ賃金を低く設定することなどは、原則として差別的取扱いに該当するおそれがあります。

障害者を排除する、または障害者にのみ不利な条件を設ける取扱いは、原則として禁止されています。

実務で確認したいポイントは次のとおりです。

  • 求人票や募集要項に、障害を理由に応募を制限する表現がないか
  • 採用選考で、職務遂行と関係のない事項を障害を理由に不利に扱っていないか
  • 昇進・研修・福利厚生の機会が、障害のある社員だけ制限されていないか

なお、障害の種類や程度、必要な支援は個人差が大きいため、障害種別だけで一律に判断せず、本人の状況を個別に確認する姿勢が重要です。

差別にあたらない例外(積極的差別是正措置など)

指針では、差別に該当しない取扱いも整理されています。代表的なものが、障害者を有利に扱う「積極的差別是正措置」です。

たとえば、障害者雇用枠を設けて障害のある方のみを対象に募集すること、障害者にのみ必要な配慮の面談を行うことなどは、障害のない方との間で異なる取扱いとなっても、差別には当たらないとされています。

障害者を有利に扱うこと自体は、差別禁止の対象外です。ただし、その趣旨は障害のある方の機会を確保することにあるため、運用が目的から外れないよう注意が必要です。

また、合理的配慮を提供したうえで、それでも職務の本質的な遂行が困難な場合など、客観的に合理的な理由があるときの取扱いは、差別に当たらない場合があります。ただし、その判断は「障害があるから」という抽象的な理由ではなく、具体的な事実に基づいて行う必要があります。

合理的配慮の提供義務と進め方

合理的配慮とは、障害のある方が職場で能力を発揮できるよう、事業主が個々の状況に応じて行う調整や工夫のことです。採用時と採用後のそれぞれで提供が求められます。

配慮の例としては、面接時の筆談や資料の事前共有、車いすでも移動しやすい通路の確保、業務指示を口頭だけでなく書面やメールで行うこと、通院のための勤務時間の調整などがあります。必要な内容は障害の特性だけでなく個人によって大きく異なります。

配慮の内容は、本人の意向を丁寧に聴き取ったうえで、双方の話し合いで決めることが基本です。

進め方の目安は次のとおりです。

  1. 本人から困りごとや希望する配慮を聴き取る
  2. 事業所の状況を踏まえ、実施可能な内容を検討する
  3. 決定した内容と理由を本人に説明し、必要に応じて見直す

事業主に過重な負担となる場合は提供義務の対象外となりますが、その場合も、代替案を検討し、なぜ難しいのかを本人に説明することが求められます。

人事担当者が整備すべき体制と相談窓口

指針に対応するため、事業主には相談窓口の設置など、苦情や相談に対応できる体制を整えることが求められています。相談したことを理由に不利益な取扱いをしてはならない点も、あらかじめ周知しておきましょう。

実務では、担当者の氏名や連絡方法を社内に明示し、障害のある社員が相談しやすい複数の手段(対面・メール・書面など)を用意しておくと運用しやすくなります。プライバシーの保護も重要で、本人の同意なく障害の情報を共有しない運用ルールが欠かせません。

相談窓口の設置と、相談者への不利益取扱いの禁止をセットで周知することが、制度を機能させる第一歩です。

あわせて、管理職や現場の社員向けに、指針の内容や合理的配慮の考え方を伝える研修を行うと、現場での認識のずれを減らせます。詳しい内容は厚生労働省の指針やJEEDの資料で確認できます。なお、法定雇用率は2.7%(改定前は2.5%)ですが、差別禁止の義務は雇用率の達成状況とは別に、全事業主に課されている点にも注意してください。

出典・参考情報

よくある質問

障害者差別禁止指針は従業員が少ない企業にも適用されますか。

はい。障害者差別禁止と合理的配慮の提供義務は、法定雇用率の対象となる規模かどうかにかかわらず、全ての事業主に適用されます。

障害者だけを対象にした求人を出すのは差別にあたりますか。

障害者を有利に扱う措置は差別禁止の対象外とされており、障害者を対象とした募集は認められています。ただし、運用の目的や条件は事案ごとに確認することをおすすめします。

合理的配慮はどのように決めればよいですか。

本人の意向を聴き取り、事業所の状況を踏まえて話し合いで決めるのが基本です。必要な配慮は個人差が大きいため、障害種別だけで判断せず、個別に確認してください。過重な負担となる場合は、代替案の検討と理由の説明が求められます。

自社の受け入れ体制、どこまで整っていますか?

16項目の無料セルフチェックで、採用ページ・受け入れ体制・定着支援・業務設計の現在地を3分で診断できます。→ 受け入れ体制診断チェックリストをやってみる

関連記事

何から着手すべきか、診断から始められます。

現行の採用ページ・求人票・応募導線を診断し、優先順位を提示します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました