合理的配慮の提供義務とは(法律解説)|対象となる場面・過重な負担の考え方・実務の進め方・雇用率制度との関係まで解説

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合理的配慮の提供義務とは(法律解説)|対象となる場面・過重な負担の考え方・実務の進め方・雇用率制度との関係まで解説

Inclusive Work 編集部

合理的配慮の提供義務とは(法律解説)|対象となる場面・過重な負担の考え方・実務の進め方・雇用率制度との関係まで解説

合理的配慮の提供義務とは、障害者雇用促進法に基づき、事業主が障害のある労働者の募集・採用時および採用後に、過重な負担にならない範囲で必要な調整や工夫を行う法的義務のことです。2024年4月から民間企業を含むすべての事業主に義務があり、企業規模や障害者の雇用有無を問わず対応が求められます。

本記事では、義務の対象範囲、過重な負担の考え方、実務での進め方を人事担当者向けに整理します。

合理的配慮の提供義務とは(法律解説)|対象となる場面・過重な負担の考え方・実務の進め方・雇用率制度との関係まで解説の要点まとめ

合理的配慮の提供義務とは何か

合理的配慮とは、障害のある人が他の労働者と同じ条件で能力を発揮できるよう、職場環境や業務の進め方を個別に調整することを指します。障害者雇用促進法では、事業主に対してこの配慮の提供を義務付けています。

この義務は、障害者雇用率制度の対象かどうかとは別の枠組みです。法定雇用率(2.7%)の対象となる常用労働者37.5人以上の事業主だけでなく、小規模な事業主にも適用されます。

合理的配慮は、雇用している障害者一人ひとりの状況に合わせて個別に検討するものであり、全員に同じ対応を行えばよいというものではありません。

なお、障害の特性や必要な配慮は個人差が大きく、同じ障害種別であっても求める内容は異なります。そのため、本人との対話を通じて確認することが基本になります。

義務の対象となる場面と範囲

提供義務は、大きく「募集・採用の場面」と「採用後の場面」に分かれます。募集・採用では、面接時の筆談対応や試験時間の調整、応募書類の形式への配慮などが該当します。

採用後は、業務指示の伝え方、作業手順の明確化、勤務時間や休憩の調整、通勤や職場設備への配慮などが対象になります。研修や昇進などの待遇面でも、障害を理由に不利益が生じないよう配慮が必要です。

配慮を必要とする本人からの申し出を待つだけでなく、事業主が相談しやすい窓口や機会を整えておくことが実務上重要です。

  • 募集・採用時:面接方法や試験形式の調整
  • 採用後:業務指示、勤務時間、作業環境の調整
  • 待遇面:研修・評価・昇進での不利益の防止

「過重な負担」の考え方と判断基準

合理的配慮は、事業主に過重な負担を及ぼす場合には提供義務が免除されます。ただし、負担が大きいという理由だけで直ちに断ることは適切ではありません。

過重な負担かどうかは、事業活動への影響の程度、実現困難度、費用や負担の程度、企業の規模、財務状況、公的支援の利用可否などを総合的に考慮して判断されます。

配慮が難しい場合でも、代替案を検討し、その理由を本人に丁寧に説明することが求められます。

費用負担については、JEEDなどの助成制度が利用できる場合があります。制度の詳細や数値は変更されることがあるため、最新の情報を公的機関の資料で確認してください。

実務で進める合理的配慮の手順

実務では、まず本人の意向と困りごとを確認する面談を設けます。その際、本人の同意を得たうえで、主治医や支援機関の意見を参考にする方法もあります。

次に、対応可能な配慮の案を検討し、本人と合意した内容を記録します。実施後は定期的に振り返りの機会を設け、状況に応じて見直します。障害の状態や職場環境は変わるため、一度決めた内容を固定しない運用が望まれます。

相談窓口の担当者を明確にし、配慮内容の記録と見直しの流れを社内で定めておくと、担当者が変わっても継続的に対応できます。

  1. 本人と面談し、困りごとと希望を確認する
  2. 対応可能な配慮案を検討し、本人と合意する
  3. 合意内容を記録し、関係者に必要な範囲で共有する
  4. 定期的に振り返り、内容を見直す

雇用率制度との関係と企業が押さえたい点

合理的配慮の提供義務と、法定雇用率制度は別の仕組みです。法定雇用率は2024年4月に2.5%から2.7%へ引き上げられ、対象事業主の範囲も常用労働者40.0人以上から37.5人以上へ広がりました。

厚生労働省の公表では、民間企業の実雇用率は2.41%、法定雇用率の達成企業割合は46.0%とされています。雇用率が未達成で常用労働者100人超の企業は、不足1人あたり月額5万円(年60万円換算)の納付金の対象となります。

雇用数を満たすだけでなく、合理的配慮を通じて働き続けられる環境を整えることが、職場定着の観点でも重要です。

制度の詳細は改定されることがあるため、厚生労働省やJEEDの最新情報を確認したうえで、社内の運用を見直してください。

出典・参考情報

よくある質問

合理的配慮の提供義務は従業員が少ない企業にも適用されますか?

はい。合理的配慮の提供義務は、企業規模にかかわらずすべての事業主が対象です。法定雇用率制度の対象となる常用労働者37.5人以上の事業主に限られません。

合理的配慮を断ることはできますか?

過重な負担にあたる場合は提供義務が免除されます。ただし、直ちに断るのではなく、事業への影響や費用、公的支援の利用可否などを総合的に検討し、代替案を探したうえで本人に理由を説明することが求められます。

合理的配慮の内容はどのように決めればよいですか?

必要な配慮は個人差が大きいため、本人との面談で困りごとや希望を確認し、対応可能な内容を話し合って決めるのが基本です。決定後も定期的に見直します。

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