精神障害者の面接で気をつけること|質問設計・合理的配慮のすり合わせ・特性の個人差を前提にした見極め方・定着支援への接続まで解説

選考・見極め

精神障害者の面接で気をつけること|質問設計・合理的配慮のすり合わせ・特性の個人差を前提にした見極め方・定着支援への接続まで解説

Inclusive Work 編集部

精神障害者の面接で気をつけること|質問設計・合理的配慮のすり合わせ・特性の個人差を前提にした見極め方・定着支援への接続まで解説

精神障害のある方の採用面接では、症状や特性の伝わり方が人によって大きく異なるため、画一的な質問や評価基準では見極めを誤りやすくなります。面接官に求められるのは「症状を聞き出す」ことではなく、「働く上で必要な配慮を具体的に確認する」姿勢です。本記事では、精神障害者の面接で採用担当者が気をつけたい質問設計や配慮確認の実務ポイントを解説します。

精神障害者の面接で気をつけること|質問設計・合理的配慮のすり合わせ・特性の個人差を前提にした見極め方・定着支援への接続まで解説の要点まとめ

面接前に採用担当者が確認しておきたい基本姿勢

精神障害と一括りに言っても、症状の出方や必要な配慮は個人差が大きく、うつ病・双極性障害・統合失調症・不安障害などで注意点も異なります。面接官があらかじめ「同じ障害名でも状態は一人ひとり違う」という前提を持っておくことが、的確な質問設計の出発点になります。

事前準備としては、応募者から提出された障害者手帳の等級や主治医の意見書、本人記入の配慮事項シートなどに目を通し、面接で重複して聞く必要がない情報を整理しておくと、応募者の負担を減らせます。面接前の情報整理は、当日の質問時間を「働き方のすり合わせ」に充てるための準備でもあります。

また、面接官が一人で判断するのではなく、人事担当者と現場の受け入れ担当者が同席する、または事後に情報共有する体制を整えておくと、面接中に感じた懸念点を配属後の配慮設計に反映しやすくなります。

聞いてはいけない質問・言い換えたい質問

精神障害者本人の意思確認は必要ですが、「なぜ精神障害になったのですか」「病気は治るのですか」といった発症経緯や治癒可能性を直接尋ねる質問は、業務遂行に直結しない個人情報への踏み込みになりやすく、避けるべきです。

代わりに、「体調が崩れやすいタイミングや予兆はありますか」「これまでの職場でどのような配慮を受けていましたか」など、実際の働き方に紐づく質問に言い換えると、応募者も答えやすく、企業側も配属後の対応をイメージしやすくなります。

  • 発症の原因や経緯を掘り下げる質問
  • 服薬内容や通院頻度を必要以上に詳しく尋ねる質問
  • 「本当に働けるのか」を疑うニュアンスの質問
こうした聞き方は避け、「どのような環境であれば力を発揮しやすいか」を軸に質問を組み立てることが、精神障害者の面接では特に重要です。

合理的配慮の内容を具体的にすり合わせる

面接では、応募者が希望する合理的配慮を抽象的なまま終わらせず、業務の場面に落とし込んで確認することが欠かせません。「配慮が必要です」で終わらせず、「どの業務の、どの場面で、どのような配慮があると助けになるか」まで具体化します。

例えば、疲労が蓄積しやすい特性がある場合は休憩の取り方や勤務時間の調整、対人緊張が強く出る場合は口頭指示よりもテキストでの指示を増やすなど、配慮の内容は職種や業務内容によって大きく変わります。

面接官は配慮の可否をその場で即答する必要はなく、「持ち帰って現場と検討する」と伝えることも誠実な対応です。その際は、いつまでに、誰が回答するのかを明確にしておくと、応募者の不安を軽減できます。

障害特性による個人差を前提にした見極め方

精神障害者の面接では、症状名だけで対応可能な業務や配慮を判断しないことが重要です。同じ診断名であっても、症状の重さや安定度、得意・不得意な業務は人によって大きく異なります。

そのため、過去の職歴や実習経験がある場合は、そこでの具体的な業務内容や、うまくいった工夫・つまずいた場面を丁寧に聞き取ることで、症状名だけでは見えない実際の適性を把握しやすくなります。

「この障害だからこの仕事は難しい」という先入観ではなく、本人の経験に基づく事実を積み重ねて判断する姿勢が、ミスマッチを防ぐ見極めにつながります。面接官の主観だけで可否を決めず、必要に応じて就労移行支援事業所の担当者など第三者の情報も参考にしましょう。

面接後のフォローと定着支援への接続

面接で聞き取った配慮事項は、内定後に配属先の上司や同僚に引き継がれて初めて意味を持ちます。面接担当者だけが情報を抱え込まず、社内で共有するフローをあらかじめ決めておくことが大切です。

また、就労移行支援事業所やジョブコーチが関わっている場合は、面接時点から連絡を取り合い、入社後の定着支援にスムーズにつなげられる体制を整えておくと、早期離職のリスクを下げやすくなります。

面接は採否を決める一度きりの場ではなく、入社後の働き方をすり合わせる最初のステップとして位置づけることが、精神障害者雇用を長続きさせる鍵になります。

採用担当者が知っておきたい制度上の留意点

障害者雇用促進法に基づく法定雇用率は、従来の2.5%から2.7%へと引き上げられており、対象となる事業主の範囲も常用労働者40.0人以上から37.5人以上へと拡大しています。精神障害者の採用を検討する背景として、こうした制度動向も押さえておくとよいでしょう。

常用労働者100人超の企業では、法定雇用率を達成できない場合に月額5万円(年60万円換算)の納付金が発生する仕組みがあります。一方で、民間企業全体の実雇用率は2.41%、法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%にとどまっており、精神障害者を含めた採用活動の強化は多くの企業にとって共通の課題です。

制度上の数値はあくまで採用活動の背景情報であり、面接の現場では個々の応募者の特性と配慮ニーズに向き合う姿勢が最優先されるべきです。最新の制度内容は厚生労働省やJEEDの公表資料で随時確認することをおすすめします。

出典・参考情報

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