障害者雇用の面接で聞いてよいこと・聞いてはいけないことの境界線|差別禁止指針と合理的配慮を踏まえたNG質問・OK質問例集

障害者雇用の面接を任されたものの、何を聞いてよいか分からず不安な人事担当者に向けて、聞いてよい質問と避けるべき質問の具体例、合理的配慮を引き出すための聞き方のコツを解説します。
なぜ「聞いてよいこと」を事前に整理しておくべきか
障害者雇用の面接では、応募者の能力や適性を的確に把握することと、不必要な詮索や差別的な印象を与えることを避けることの両立が求められます。
厚生労働省は、募集・採用時における障害者に対する差別禁止と合理的配慮の提供について、事業主が留意すべき考え方を示しています。面接官が「何を聞いていいか分からない」まま自己流で進めると、意図せず不適切な質問をしてしまったり、逆に必要な確認ができず入社後のミスマッチにつながったりするリスクがあります。
まずは質問の「軸」を明確にしておくことが重要です。
質問の基本原則
面接で確認すべきなのは、原則として「その仕事を遂行するうえで必要な能力や適性があるか」「どのような配慮があれば能力を発揮できるか」という2点です。
障害の診断名や原因、重症度そのものを詳しく聞き出すことは、選考の目的から外れやすく、また医療的な判断を人事担当者が行うべきものでもありません。
質問を組み立てる際は、常に「この質問は職務遂行や配慮の検討に直接関係しているか」を基準に取捨選択すると、判断がぶれにくくなります。
聞いてよい質問例
以下は、職務適性や配慮の検討に直結する、確認して差し支えないとされる質問の例です。
いずれも「できること」「工夫すればできること」「配慮があるとできること」を切り分けるための問いかけです。
- 「これまでのご経験で、どのような業務を担当されてきましたか」
- 「今回の職務内容について、ご自身で対応できそうな部分と、工夫や配慮があるとより力を発揮しやすい部分を教えてください」
- 「働くうえで、職場環境や設備面で配慮してほしいことはありますか」
- 「通院や体調管理のために、勤務時間や休憩の取り方で希望はありますか」
- 「業務指示やコミュニケーションの方法で、やりやすい形はありますか(口頭・文書・チャットなど)」
- 「通勤方法や勤務時間帯について、留意しておいた方がよい点はありますか」
これらはいずれも「業務遂行」と「必要な配慮の把握」という2つの軸に沿った質問であり、応募者にとっても回答しやすい聞き方です。
避けるべき質問例
一方で、以下のような質問は選考の目的に照らして必要性が乏しく、応募者に不快感や不安を与えたり、差別的と受け取られたりする可能性があるため、避けることが望ましいとされています。
- 障害の診断名や原因、発症の経緯を詳細に尋ねる質問
- 「本当に働けるのですか」「無理をしていませんか」など、就労能力を疑うニュアンスを含む質問
- 結婚・妊娠・出産の予定や、家族に障害のある方がいるかどうかを尋ねる質問
- 障害者手帳の等級や内容を、業務上の必要性を超えて詳しく聞き出す質問
- 症状の重さや将来的な見通しについて踏み込んで尋ねる質問
これらの情報が必要だと感じる場面があっても、まずは「なぜその情報が必要なのか」を自問してみてください。
業務遂行や配慮の検討に直結しない場合は、質問を控える判断が求められます。
合理的配慮を引き出す聞き方の工夫
合理的配慮の内容は、障害の種類だけで一律に決まるものではなく、一人ひとりの状況によって異なるとされています。
そのため「どのような障害をお持ちですか」と漠然と尋ねるのではなく、「業務のこの場面で、どのような配慮があると力を発揮しやすいですか」というように、場面を具体的に示して尋ねる方が応募者も答えやすくなります。
あらかじめヒアリング項目をシート化し、全応募者に同じ枠組みで質問することで、面接官による質問内容のばらつきや、その場の思いつきによる不適切な質問を防ぐこともできます。判断に迷う場合は、社内の産業保健スタッフや外部の専門家に確認する体制を整えておくと安心です。
まとめ
障害者雇用の面接では、「職務遂行に必要な能力」と「力を発揮するために必要な配慮」という2つの軸を意識して質問を組み立てることが基本です。
診断名や原因、プライベートな事情に踏み込む質問は避け、具体的な業務場面を想定した聞き方を心がけることで、応募者との信頼関係を築きながら必要な情報を過不足なく把握できます。
自社だけでの体制構築に不安がある場合は、障害者雇用に詳しい外部の専門家に相談しながら、面接項目や配慮のヒアリング方法を整えていくことも一つの選択肢です。
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