障害者雇用の紹介予定派遣という選択肢|制度の仕組み・母集団形成に有効な理由・押さえるべき数値・派遣期間中の配慮・派遣会社選定と体制整備

母集団形成・応募が来ない対策

障害者雇用の紹介予定派遣という選択肢|制度の仕組み・母集団形成に有効な理由・押さえるべき数値・派遣期間中の配慮・派遣会社選定と体制整備

Inclusive Work 編集部

障害者雇用の紹介予定派遣という選択肢|制度の仕組み・母集団形成に有効な理由・押さえるべき数値・派遣期間中の配慮・派遣会社選定と体制整備

母集団形成に悩む企業の間で、障害者雇用における「紹介予定派遣」への関心が高まっています。一定期間の就業を経てから直接雇用へ移行する仕組みのため、企業・求職者双方が実際の業務を通じてマッチング精度を高められる点が特徴です。本記事では、紹介予定派遣を障害者雇用の母集団形成・定着施策として活用する際の具体的な進め方と留意点を解説します。

障害者雇用の紹介予定派遣という選択肢|制度の仕組み・母集団形成に有効な理由・押さえるべき数値・派遣期間中の配慮・派遣会社選定と体制整備の要点まとめ

紹介予定派遣とは何か

紹介予定派遣とは、一定期間(最長6か月)を派遣社員として就業したのち、企業・本人双方の合意があれば直接雇用へ移行する仕組みです。障害者雇用においては、書類選考や短時間の面接だけでは把握しづらい業務適性やコミュニケーションの相性を、実際の職場で確認できる点が特徴です。

母集団形成に苦戦している企業の多くは、求人票だけでは自社の受け入れ体制や配慮事項が求職者に伝わりにくいという課題を抱えています。紹介予定派遣は、応募のハードルを「いきなり正社員」から「まずは一定期間の就業」へ下げることで、応募を検討する求職者の裾野を広げる効果が期待できます。

ただし、直接雇用への移行は義務ではなく、あくまで双方の合意が前提です。制度の性質を求人票や面接時に明確に説明しないと、求職者側に「いずれ正社員になれる」という誤解を与えてしまう可能性がある点には注意が必要です。

母集団形成・応募が来ない企業に有効な理由

応募が集まらない要因の一つに、求職者側が「入社後に自分の障害特性に合わせた配慮を受けられるか分からない」という不安を抱えていることが挙げられます。紹介予定派遣であれば、派遣期間中に実際の業務内容や職場の雰囲気、配慮の実施状況を確認したうえで直接雇用を判断できるため、応募への心理的ハードルを下げやすくなります。

企業側にとっても、面接だけでは見えにくい実務遂行力やチームとの相性を見極める期間を確保できる利点があります。ミスマッチによる早期離職のリスクを双方が事前に減らせることが、紹介予定派遣が母集団形成の選択肢として注目される理由です。

一方で、紹介予定派遣は通常の求人掲載よりも派遣会社を介した調整の工数がかかります。自社の求人ターゲットや配慮体制が明確でない状態で導入すると、派遣会社側もマッチング候補を絞り込みにくくなるため、事前の要件整理が重要です。

導入にあたって押さえておきたい制度上の数値

障害者雇用を検討する際は、関連する法定雇用率や納付金制度の数値も把握しておく必要があります。法定雇用率は2.7%に設定されており、改定前は2.5%でした。対象となる事業主の範囲も、常用労働者37.5人以上(改定前は40.0人以上)に広がっています。

常用労働者100人超の事業主については、雇用率未達成の場合に納付金(月額5万円、年額換算で60万円)が課される仕組みがあります。紹介予定派遣による採用も、直接雇用へ移行すれば雇用率算定の対象となるため、自社の充足状況を踏まえて活用を検討する価値があります。

なお、民間企業全体の実雇用率は2.41%、法定雇用率達成企業の割合は46.0%にとどまっています(厚生労働省調べ)。制度の詳細や最新の数値は、厚生労働省やJEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)の公表資料で必ず確認してください。

障害特性への配慮と派遣期間中の運用ポイント

紹介予定派遣を活用する際は、障害の種別や程度によって必要な配慮が大きく異なる点を前提に運用を設計する必要があります。同じ障害種別であっても症状や必要な配慮には個人差が大きいため、一律のマニュアルだけに頼らず、本人との対話を通じて配慮内容をすり合わせることが重要です。

派遣期間中は、業務内容や労働時間、休憩の取り方、通院への配慮など、具体的な運用ルールを派遣会社・本人と共有しておくと、直接雇用移行後のトラブルを防ぎやすくなります。定期的な面談を設け、業務量や体調の変化を早期に把握できる体制を整えておくことも有効です。

また、受け入れ部署の担当者にも事前に配慮事項を共有し、周囲の理解を得ておくことが、派遣期間中の定着とその後の直接雇用判断の材料になります。現場任せにせず、人事部門が継続的に状況を把握する体制をつくることが望まれます。

派遣会社選定と社内体制整備のポイント

紹介予定派遣を導入する際は、障害者雇用の実績やノウハウを持つ派遣会社を選ぶことが第一歩です。担当者が障害特性への理解を持っているか、求人条件のすり合わせ段階でどこまで細かく確認してくれるかは、事前の商談で見極めておきたいポイントです。

社内では、受け入れ部署・人事・派遣会社の三者で定期的に情報共有する仕組みを作っておくと、派遣期間中の課題を早期に発見しやすくなります。直接雇用への移行可否を判断する基準をあらかじめ社内で言語化しておくことで、本人にも納得感のある結果を伝えやすくなります。

紹介予定派遣は万能な解決策ではなく、職種や業務内容によっては通常の求人や実習型のトライアル雇用のほうが適している場合もあります。自社の採用課題や受け入れ体制と照らし合わせながら、複数の選択肢の一つとして検討することが現実的です。

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