特例子会社設立のメリット・デメリット|制度概要・要件と進め方・設立以外の選択肢との比較まで解説

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特例子会社設立のメリット・デメリット|制度概要・要件と進め方・設立以外の選択肢との比較まで解説

Inclusive Work 編集部

特例子会社設立のメリット・デメリット|制度概要・要件と進め方・設立以外の選択肢との比較まで解説

特例子会社の設立は、障害のある方が働きやすい環境を集中的に整えやすく、親会社やグループ全体で雇用率を算定できる点が大きなメリットです。一方で、設立と運営には初期投資、業務の切り出し、親会社との関係維持といった負担が伴い、法定雇用率2.7%の達成だけを目的にすると失敗しやすい制度です。

自社の事業規模、任せられる業務量、支援体制を整理したうえで、他の選択肢と比べて判断することが重要です。

特例子会社設立のメリット・デメリット|制度概要・要件と進め方・設立以外の選択肢との比較まで解説の要点まとめ

特例子会社制度の概要

特例子会社とは、障害者の雇用に特別の配慮をした子会社です。一定の要件を満たし、厚生労働省(ハローワーク)の認定を受けると、その子会社で雇用する障害者を親会社が雇用しているものとみなして、実雇用率を算定できます。

背景には、法定雇用率の引き上げがあります。民間企業の法定雇用率は改定前の2.5%から2.7%へ引き上げられ、対象となる事業主の範囲も常用労働者40.0人以上から37.5人以上へ広がりました。民間企業全体の実雇用率は2.41%、法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%にとどまっており、雇用の受け皿づくりに悩む企業は少なくありません。

特例子会社は、親会社単体では整えにくい配慮を子会社に集約し、雇用の質と量を両立させるための仕組みです。グループ会社をまとめて算定する「グループ適用」を使えば、複数のグループ企業の雇用を通算することもできます。

特例子会社を設立するメリット

第一のメリットは、障害特性に合わせた環境整備をしやすいことです。バリアフリーの設備、短時間勤務や柔軟なシフト、業務指示の方法などを、子会社の仕組みとして統一して設計できます。障害の種類や程度、必要な配慮には個人差が大きいため、一人ひとりに合わせて調整しやすい小さな組織であることは利点になります。

第二に、障害のある方の雇用管理のノウハウを社内に蓄積しやすい点です。専任の支援担当者やジョブコーチ的な役割を置き、定着支援の経験を積み重ねられます。親会社の各部署に分散して雇用するより、相談窓口が明確になり、現場の負担感も抑えやすくなります。

第三に、雇用率の管理をグループ全体で行える点です。親会社と子会社、さらにグループ適用の対象会社の雇用を通算できるため、グループ全体で雇用計画を立てやすくなります。また、社内の他部署が担っていた郵便物の仕分け、清掃、データ入力などの業務を集約することで、本来業務に集中しやすくなる効果も期待できます。ただし、これらの効果は業務設計や支援体制によって左右され、成果を保証するものではありません。

特例子会社のデメリットと注意点

最大のデメリットは、設立と運営にかかる負担です。法人設立の手続き、オフィスや設備の整備、専任の管理者や支援員の配置、給与や社会保険などの管理部門の運営が必要になります。雇用する人数が少ない段階では、一人あたりのコストが割高になりやすい点にも注意が必要です。

次に、業務の確保という課題があります。親会社から切り出せる業務の量と種類が限られると、単純作業に偏り、働く方のやりがいやキャリア形成の機会が乏しくなる恐れがあります。業務の内容は、本人の意向や適性、障害特性に応じて丁寧に検討することが欠かせません。障害特性には個人差が大きいため、業務を一律に割り振ることは避けるべきです。

特例子会社を雇用率達成の手段としてのみ捉えると、職域が固定化し、親会社との交流も減って、共に働く実感が乏しくなるおそれがあります。あわせて、親会社との人的・経営的な関係が要件に含まれるため、子会社を切り離して考えることはできません。定期的な人事交流や親会社側の理解促進も、運営上の課題として見込んでおきましょう。

設立の主な要件と進め方

特例子会社として認定されるには、主に次の要件を満たす必要があります。要件の詳細や最新の運用は、必ず厚生労働省やJEEDの案内、管轄のハローワークで確認してください。

  • 親会社が子会社の意思決定機関を支配していること(議決権の保有割合など)
  • 親会社と子会社の間に人的関係が緊密であること(役員の派遣など)
  • 雇用する障害者が5人以上で、全従業員に占める割合が20%以上であること
  • 雇用する障害者に占める重度身体障害者、知的障害者、精神障害者の割合が30%以上であること
  • 障害者のために施設の改善や専任の指導員の配置など、適切な雇用管理を行えること

進め方の目安としては、まず社内で目的と業務量を整理し、担当できる業務の洗い出しを行います。続いて事業計画、採用計画、収支計画を作成し、支援機関や自治体の相談窓口にも意見を求めます。法人を設立したのち、採用と受け入れ体制の整備を進め、管轄のハローワークへ認定の申請を行う流れが一般的です。

設立前に、具体的な業務内容と採用人数の見通し、支援体制を計画書に落とし込んでおくことが、認定と安定運営の両面で重要です。認定までに一定の期間がかかることもあるため、法定雇用率への対応期限から逆算して余裕をもって準備を始めましょう。

設立以外の選択肢との比較と判断のポイント

特例子会社以外にも、選択肢はあります。たとえば、各部署に分散して雇用する方法、在宅勤務やテレワークを活用する方法、就労継続支援事業所などへの業務委託による間接的な支援、企業内の障害者雇用専門部署の設置などです。

納付金制度の面でも整理が必要です。常用労働者100人超の企業で法定雇用率を下回る場合、不足1人につき月額5万円(年額換算で60万円)の障害者雇用納付金の対象となります。ただし、納付金を避けることだけを目的に雇用を進めると、採用のミスマッチや早期離職につながりやすくなります。制度や金額の最新情報は、JEEDの案内で確認してください。

判断の軸は、継続的に任せられる業務量があるか、支援体制を長期で維持できるか、グループ全体で受け入れる意義を共有できるか、の三点です。採用・人事担当者は、まず現状の雇用状況と不足人数、任せられる業務の棚卸しから着手し、必要に応じて社会保険労務士や地域の支援機関などの専門家にも相談しながら、自社に合う形を選ぶことをおすすめします。

出典・参考情報

よくある質問

特例子会社の設立には、どのような要件がありますか?

主な要件として、親会社が子会社の意思決定を支配していること、親会社との人的関係が緊密であること、雇用する障害者が5人以上で全従業員の20%以上であること、雇用障害者のうち重度身体障害者・知的障害者・精神障害者が30%以上であること、適切な雇用管理を行えることなどがあります。詳細や最新の運用は、厚生労働省・JEEDの案内や管轄のハローワークでご確認ください。

特例子会社を作れば、法定雇用率は達成できますか?

特例子会社で雇用する障害者は、一定の要件のもとで親会社の実雇用率に算入できますが、設立すれば自動的に達成できるわけではありません。法定雇用率は2.7%であり、算入後の雇用数がこれを満たすかは、採用計画や定着の状況によって変わります。

特例子会社を設立せず、社内で雇用する場合と何が違いますか?

社内雇用は、初期投資が少なく、通常の職場で共に働きやすい点が利点です。一方、特例子会社は配慮を集中して整えやすいものの、設立・運営の負担や業務確保の課題があります。障害特性や必要な配慮には個人差が大きいため、自社の業務量、体制、方針に合わせて比較検討することが大切です。

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