障害者雇用の求人倍率は今後どう変わる?市場データから見る採用競争の見通し|3つの要因・制度改定の影響・実雇用率と達成企業割合・採用競争のシナリオ・人事担当者の備えまで解説

データ・調査解説

障害者雇用の求人倍率は今後どう変わる?市場データから見る採用競争の見通し|3つの要因・制度改定の影響・実雇用率と達成企業割合・採用競争のシナリオ・人事担当者の備えまで解説

Inclusive Work 編集部

障害者雇用の求人倍率は今後どう変わる?市場データから見る採用競争の見通し|3つの要因・制度改定の影響・実雇用率と達成企業割合・採用競争のシナリオ・人事担当者の備えまで解説

障害者雇用の求人倍率は、法定雇用率が2.7%に引き上げられ、対象事業主も常用労働者37.5人以上に広がったため、企業側の採用意欲が高まり、当面は採用競争が厳しい状態が続くと見込まれます。ただし、見通しは業種・地域・職種で大きく異なります。

この記事では、制度の動き、実雇用率や達成企業割合のデータ、採用競争の見通し、人事担当者が今から備えるべき実務ポイントを整理します。

障害者雇用の求人倍率は今後どう変わる?市場データから見る採用競争の見通し|3つの要因・制度改定の影響・実雇用率と達成企業割合・採用競争のシナリオ・人事担当者の備えまで解説の要点まとめ

求人倍率を左右する3つの要因

障害者雇用の求人倍率は、企業の求人数と求職者数のバランスで決まります。求人数は法定雇用率などの制度、景気、企業の採用方針に左右されます。一方、求職者数は、障害のある方の就労意欲、支援機関の充実度、在宅勤務などの働き方の選択肢に影響されます。

制度面では、法定雇用率の引上げや対象事業主の範囲拡大が求人数を押し上げます。求人倍率は、制度改定による求人増と、求職者の増加ペースの差によって動きます。

なお、求人倍率は全国平均の数字だけでは実態を捉えにくい指標です。障害種別、年齢、地域、職種によって需給は大きく異なります。障害の特性や必要な配慮は個人差が大きいため、「障害者全体」を一括りにして採用難易度を判断することは避けましょう。

制度改定が採用市場に与える影響

法定雇用率は、改定前の2.5%から2.7%へと引き上げられました。あわせて、障害者雇用義務の対象となる事業主の範囲も、改定前の常用労働者40.0人以上から37.5人以上へと広がっています。これにより、これまで義務の対象外だった規模の企業も、新たに採用を検討する必要が出てきました。

対象企業が増えれば、求人を出す企業が増えて市場全体の求人数が拡大します。結果として、これまで障害者雇用に取り組んでいなかった企業が新たに参入し、求職者の取り合いになる場面が増える可能性があります。

また、障害者雇用納付金制度は常用労働者100人超の企業が対象で、法定雇用率を満たさない場合は月額5万円(年60万円換算)の納付金が必要になります。金銭的負担を避けるためだけでなく、人材として活躍してもらう視点で採用計画を立てることが重要です。

制度の最新情報は、厚生労働省やJEEDの公表資料で必ず確認してください。

実雇用率と達成企業割合から読む現状

民間企業の実雇用率は2.41%となっており、法定雇用率の2.7%には届いていません。これは、市場全体として「もう少し雇用を増やす余地がある」状態にあることを意味します。

また、法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%です。逆に言えば、半数以上の企業が未達成であり、今後も採用ニーズが続く構造になっています。

実雇用率が法定雇用率を下回っている間は、未達成企業を中心に採用意欲が高い状態が続くと考えられます。

ただし、数字は年度ごとに更新されます。採用計画を立てる際は、最新の公表値を確認したうえで、自社の雇用状況と業界の傾向を照らして判断しましょう。

今後の見通しと採用競争のシナリオ

今後の見通しについては、確定的なことは言えません。ここでは、実務で想定しておきたい2つのシナリオを整理します。

  • 求人増が先行するシナリオ:新たに対象となった企業の参入で求人が増え、特に事務職や軽作業など募集が集中しやすい職種で競争が強まる
  • 求職者増が追いつくシナリオ:支援機関の拡充や在宅勤務の普及で就労を希望する人が増え、需給が徐々に落ち着く

どちらに傾くかは、地域や職種によって異なります。「全国平均の倍率」ではなく、自社の募集職種と勤務地に近い市場を個別に見ることが、現実的な判断につながります。

いずれのシナリオでも、条件や職場環境に魅力のある企業が選ばれやすくなる点は共通しています。障害特性や必要な配慮は人によって大きく異なるため、画一的な募集条件ではなく、個別に調整できる柔軟さが求められます。

人事担当者が今から備える実務ポイント

採用競争が続く前提で、まず取り組みたいのが「職務の切り出し」です。どの業務を、どの程度の量で任せられるかを具体的に整理すると、求人票の説得力が高まり、入社後のミスマッチも減らせます。

次に、受け入れ体制の整備です。以下の項目を点検しておきましょう。

  • 配属先の上司・同僚への事前説明と、相談窓口の明確化
  • 勤務時間・通勤・在宅勤務など、働き方の柔軟性
  • 設備面・業務指示の伝え方など、合理的配慮の検討手順

採用だけでなく、定着支援まで含めた設計が、長期的には採用競争で優位に働きます。

さらに、ハローワークや就労移行支援事業所、特別支援学校などとの連携を早めに築いておくことも有効です。求人倍率の動向は、厚生労働省の統計などを定期的に確認し、半期ごとに採用計画を見直す運用をおすすめします。

出典・参考情報

よくある質問

障害者雇用の求人倍率は今後上がりますか?

法定雇用率の引上げや対象事業主の拡大により、求人数は増える方向にあります。ただし、求職者側の動向や地域・職種によって状況は異なるため、一律には言えません。自社の募集条件に近い市場の最新データを確認することをおすすめします。

法定雇用率を達成していない場合、どうなりますか?

常用労働者100人超の企業では、未達成の場合に月額5万円(年60万円換算)の納付金が必要になります。詳細な算定方法や最新の制度は、厚生労働省やJEEDの公表資料でご確認ください。

採用競争が厳しい中、中小企業はどう対応すればよいですか?

業務の切り出しを具体化し、働き方の柔軟性や配慮の内容を求人票で丁寧に伝えることが有効です。障害特性や必要な配慮は個人差が大きいため、面談で一人ひとりの状況を聞き取り、個別に調整する姿勢が大切です。

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