商談が終わったあと、録音を聞き返しながら議事録をまとめ、課題を整理し、次回提案の構成を考える作業に、毎回まとまった時間を取られていないでしょうか。コンサルタントのAI活用として、議事録とヒアリング整理は最も効果が出やすい領域のひとつです。本来コンサルタントが時間を使うべきは、議事録を書くことではなく、聞き取った内容から何を提案するかを考えることです。この記事では、Whisper・Claude・Notionを組み合わせた半自動の流れと、機密情報の扱い方、費用の目安を、弊社の考え方とあわせて解説します。

商談議事録をAIで作る流れとは
商談議事録のAI化は、録音を文字起こしし、要約と論点抽出をAIに任せ、最後に人が確認してNotionへ保存する四段階の流れで成り立ちます。

最初の段階は録音です。オンライン商談であればZoomやGoogle Meetの録画機能、対面であればICレコーダーやスマートフォンを使います。ここで大切なのは、商談の冒頭で録音と記録目的を相手に伝え、了承を得ておくことです。この一言を省くと、後の工程がどれだけ効率化されても、信頼関係の面で取り返しがつかなくなります。
次に、録音ファイルをWhisperで文字起こしします。WhisperはOpenAIが公開している音声認識モデルで、日本語にも対応しています。自分のPCで動かす方法とAPIで使う方法があり、API利用の場合は音声1分あたり約0.006ドルが公式の料金です(為替で変動します)。1時間の商談で換算すると、目安として数百円の範囲です。ただし、専門用語や社名、人名は誤変換されやすいため、固有名詞の辞書をあらかじめ用意し、文字起こし後に差し替える運用にしておくと精度が上がります。
文字起こしが終わったら、そのテキストをClaudeに渡して議事録の形に整えます。ここで指示の出し方が品質を左右します。単に「要約して」と頼むのではなく、「決定事項」「持ち帰り事項」「先方の発言として確認できた課題」「不明点」の四区分で出力するよう指定します。さらに、発言になかった内容を補わないこと、あいまいな箇所は「要確認」と明記することを条件に加えると、もっともらしい作り話が混ざるリスクを下げられます。
出力された議事録は、Notionのデータベースに案件名、商談日、担当者といった属性を付けて保存します。後から「あの会社は予算について何と言っていたか」と検索できるようになるため、議事録が個人のファイルではなく、事務所の資産として積み上がっていきます。ここまでの作業は、1時間の商談で目安として15〜20分程度に収まることが多く、残りの時間を人の確認に充てる設計です。
ヒアリング内容から課題を整理し提案のたたき台を作る方法
ヒアリング整理は、議事録とは別の指示で課題の構造化を行い、そこから次回提案のたたき台を作る二段構えにするのが現実的です。
議事録は「何が話されたか」の記録であり、課題整理は「何が問題なのか」の分析です。この二つを同じ指示で一度にやらせると、どちらも中途半端になります。そのため弊社では、議事録の確定後にあらためてClaudeへ課題整理を依頼する分け方をおすすめしています。たとえば、先方が語った症状、その背景にありそうな原因の仮説、すでに試した対策、制約条件(予算・期限・社内体制)の四つに分けて出力させると、ヒアリングシートに近い形でまとまります。

課題整理の段階で特に役立つのが、論点の抜け漏れチェックです。あらかじめ自分のヒアリング項目リストをClaudeに渡しておき、「今回の商談で聞けていない項目はどれか」を出させます。商談中は話の流れに引きずられて、予算の決裁者や導入時期といった基本事項を聞きそびれることがよくあります。次回の冒頭で何を確認すべきかが明確になるため、再訪問の質が上がります。
次回提案のたたき台は、整理済みの課題をもとに「提案の骨子案」として出させます。目的、現状の課題、解決の方向性、進め方の候補、確認すべき前提といった見出し構成だけを作らせるのがコツです。金額や納期まで入れさせると、根拠のない数字が混ざるため、そこは人が決める領域として空欄のままにしておきます。AIに任せるのは骨子までで、価格と提案の優先順位を決めるのは、あくまでコンサルタント自身です。
ヒアリングが複数回に及ぶ案件では、Notionに蓄積した過去の議事録をまとめてClaudeに読ませ、「前回から変わった点」「繰り返し出ている不満」を抽出させる使い方も有効です。長期の案件ほど、担当者の記憶に頼らず経緯を再確認できる効果が大きくなります。
機密情報はどう扱えばよいのか
機密情報の扱いは、AIに入れる前の匿名化と、利用するサービスの設定確認、そして最終判断を人が持つ三点で守ります。
商談の録音には、取引先の経営数値や人事情報、未公開の計画が含まれることがあります。まず確認すべきは、契約や秘密保持契約(NDA)の中で、第三者のサービスへの情報提供がどう扱われているかです。クライアントによっては外部AIへの入力そのものを禁止している場合があり、その際はWhisperをローカル環境で動かして音声を外に出さない構成に切り替えるなど、案件ごとに使い分ける必要があります。
次に、テキストをClaudeに渡す前の匿名化です。社名や個人名を「A社」「担当者B」のような記号に置き換えてから入力し、出力後に元へ戻す運用にすれば、万一の際の影響範囲を小さくできます。置き換えの作業自体も簡単なスクリプトで自動化できるため、手間はそれほど増えません。また、利用するAIサービスの設定で、入力内容が学習に使われるかどうかを必ず確認してください。法人向けプランやAPI経由の利用では、扱いが個人向けと異なる場合があるため、最新の利用規約で確認するのが前提です。
議事録の正式な保管版は、AIが作った文章ではなく、人が確認して承認した版にする、という線引きを守ってください。AIの要約は、発言の意図を取り違えたり、数字を取り違えたりすることがあります。とくに金額、期限、固有名詞は必ず元の録音や文字起こしと照合します。弊社が提案する形は、機械が下書きとチェックを担い、人が最終確認を残す半自動であり、全自動で完結させる設計はあえて採りません。
保存先のNotionについても、共有範囲の設定が甘いと社外の人まで閲覧できる状態になりかねません。案件ごとにページの権限を分け、退職者や外部協力者のアクセスを定期的に見直す運用までを、仕組みの一部として考えておくと安心です。
導入にかかる費用と始め方は
導入は、まず1件の商談で小さく試し、効果を確かめてから全案件に広げる進め方なら、ほぼ追加の固定費をかけずに始められます。
費用の中心は三つです。Whisperは、自分のPCで動かすなら利用料はかからず、APIなら前述のとおり1時間あたり数百円が目安です。ClaudeとNotionは有料プランを使うのが一般的で、金額はプランや為替によって変わるため、契約前に公式の料金表で確認してください。月に数件の商談であれば、全体で月額数千円程度から運用できるケースが多いと考えられますが、これはあくまで目安であり、利用量によって上下します。
始めるときは、いきなり全案件へ適用せず、社内の打ち合わせや過去の録音など、機密性の低い素材で試すのが安全です。その中で、議事録の出力形式、課題整理の指示文、Notionの項目設計を自分の業務に合わせて調整します。指示文は一度作れば使い回せるので、最初の数回で形を固めてしまうことが、その後の効率を大きく左右します。
運用が回り始めたら、効果の測り方も決めておきます。たとえば議事録作成にかかった時間と、確認での修正箇所の数を数回分だけ記録しておけば、自分の業務でどれだけ短縮できているかが見えてきます。数字がなければ、導入が成功したかどうかも判断できません。
自力での構築が難しい場合や、案件管理システムとの連携、独自の指示文の設計まで任せたい場合は、弊社の「AI実装・業務設計」で業務フローの診断から自動化スクリプトの実装まで対応しています。また、どこからAIを入れるべきか迷っている段階であれば、「AIアドバイザリー」でROI試算や実装ロードマップの整理もお手伝いできます。まずは今の商談後の作業を洗い出すところから、お気軽にご相談ください。
よくある質問
商談の録音をAIで文字起こしすることに問題はありませんか?
相手に録音の目的を伝えて了承を得ること、秘密保持契約で外部サービスへの入力が禁じられていないかを確認することが前提です。禁止されている案件では、Whisperを自分のPCで動かして音声を外に出さない方法があります。
AIが作った議事録をそのまま使っても大丈夫ですか?
そのまま使うのはおすすめしません。金額・期限・固有名詞は誤りが混ざりやすいため、元の文字起こしと照合し、人が確認した版を正式な議事録にしてください。
議事録作成のAI化にはどのくらい費用がかかりますか?
Whisperは自分のPCで動かせば無料、APIでも1時間あたり数百円が目安です。ClaudeとNotionの料金はプランや為替で変わるため、公式の料金表で確認してください。
ClaudeとChatGPTのどちらを使うべきですか?
議事録の要約や論点抽出はどちらでも可能で、実際の出力を比べて自社の業務に合う方を選ぶのが確実です。弊社では、条件を細かく守らせる指示との相性を見てClaudeを例に解説しています。
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- 診断まで完全無料です(費用が発生する場合は、必ず事前にお見積りを出し、納得いただいてからです)
- 診断の結果、AI実装・アドバイザリー・Web制作・メディア運用のいずれかでお手伝いできそうな場合は、進め方と費用の目安もあわせてご提案します。不要ならそのまま終了で大丈夫です(しつこい連絡はしません)

