日本の対日直接投資の概要と目標100兆円に向けて
海外企業の日本進出で経済効果に期待
半導体受託製造の世界最大手のTSMCが熊本で新工事を建設中。
新工場では既にスタッフのトレーニングが行われ、2024年末の出荷開始に向けて生産設備の搬入が始まる予定です。
TSMCの熊本進出の経済効果は今後10年間で6.9兆円規模と試算されています。
同社の第1工場に加えて、ソニーやその他半導体関連企業の熊本県への集積により経済波及効果は大きいものとなっています。
TSMCは第2工場の建設も検討しており、海外から日本への対日直接投資の経済効果に大きな期待を持つことができます。
日本が持続的な成長をしていくには海外からヒト・モノ・カネ・アイディアを取り入れる必要があり、投資や高度人材の獲得が必須。
TSMCの熊本進出はこの一環であり、政府は2030年までに対日直接投資目標を80兆円に定め、更なる目標として100兆円を目指している。
投資には工場建設や企業買収などの直接投資と株式や債券購入などの間接投資の2種類がある。
日本から海外の直接投資額が200兆円以上なのに対して、海外から日本の投資額が40兆円であり、対日投資額が圧倒的に小さい。
海外からの直接投資はOECD平均でGDPの50%前後であり、80兆円でもGDP比12%と、日本はOECDで最下位と世界的に大きく遅れている。
対日直接投資が進まない理由として、ビジネスコストの高さや英語でのコミュニケーションの困難性、日本市場の閉鎖性・特殊性などが挙げられる。
これらの課題に対して政府は交通機関やスーパーなどの多言語表示や東京開業ワンストップセンター設立、ジェトロによる情報発信などを行なってきた。
更に、グローバルサプライチェーン再構築やスタートアップハブ形成など5つのアクションプランを掲げており、対日直接投資の伸び代は大きいと言える。