障害者雇用で多い契約社員とは?給与や福利厚生など正社員との違い。わかりやすく解説
契約社員とは?基本的な特徴と働き方
契約社員とは、企業との雇用契約が一定期間で締結される雇用形態の一つです。契約期間終了時に、更新するかどうかを判断する仕組みになっており、正社員と比べて雇用が柔軟に調整できるのが特徴です。
契約社員の働き方
契約社員の働き方には以下のようなポイントがあります。
- 契約期間
- 一般的に3か月~1年単位で契約が結ばれます。
- 更新の可否は企業と本人の双方の合意に基づき決まります。
- 業務内容
- 専門的なスキルを持つ場合や、特定のプロジェクトのために雇用されるケースが多いです。
- 正社員と同じような業務を担当することもありますが、責任の範囲が限定される場合が一般的です。
- 勤務時間と柔軟性
- フルタイム勤務が主流ですが、時短勤務や週3日など柔軟な働き方も可能です。
契約社員と正社員の違い
契約社員と正社員の違いは、雇用期間だけでなく、待遇や福利厚生にもあります。
- 給与
- 時給制や月給制が一般的で、ボーナスや昇給が限定的です。
- 正社員のような年功序列型の給与体系ではないことが多いです。
- 福利厚生
- 社会保険や有給休暇などの基本的な福利厚生は法律で保証されていますが、企業独自の福利厚生(住宅手当や退職金制度など)は適用されない場合があります。
- 安定性
- 正社員は定年までの長期雇用を前提にしていますが、契約社員は契約満了時に終了するリスクがあります。
なぜ障害者雇用に契約社員が多いのか?
契約社員が選ばれる背景
障害者雇用では、契約社員の形態が選ばれることが非常に多く見られます。その背景には、企業側のリスク管理や、障がい者の働きやすさを考慮した要因があります。
1. 採用リスクの軽減
障害者雇用では、仕事の適性や職場環境との相性が重要な要素となります。しかし、これらを採用前に完全に見極めるのは難しい場合があります。特に、日によって気分が変わりやすい精神障害者や発達障害者の場合、選考の短い時間だけで適正を見抜くのは難しいです。
- 課題例
- 業務内容が障害特性に合わない。
- 職場のコミュニケーションがうまくいかない。
正社員として採用した場合、解雇は法律上非常に高いハードルがあります。そのため、企業はまず契約社員として採用し、実際の勤務状況を観察することを選択するケースが多いのです。
- メリット:企業側
- 契約更新を停止することで対応可能
適性が見られない場合、契約期間終了時に更新を行わない選択ができるため、リスクを最小限に抑えられます。 - メリット:従業員側
- 試用期間的な契約形態により、働きやすい環境を選ぶ自由がある。実際、契約更新ごとに次々に転職していく障がい者の方は多いです。
2. 多様な勤務形態が可能
契約社員の雇用は、障がい者に対して柔軟な働き方を提供する上で有利です。
- 例:短時間勤務や週数日勤務
障害の種類や状態に応じて、フルタイム勤務が難しい場合に調整しやすいのが契約社員の特徴です。
契約社員の5年ルールとは?障害者雇用にも適用される重要なポイント
契約社員の雇用において、重要なルールとして「5年ルール」があります。このルールは、障がい者を含むすべての契約社員に適用されます。
5年ルールとは?
労働契約法に基づき、同一の企業で有期雇用契約が通算5年を超えた場合、従業員からの申し出により、無期雇用契約へ転換する権利が発生します。これが「5年ルール」です。
- ポイント:
- 5年以上継続して働いた契約社員は、無期雇用契約を申請可能。
- 無期雇用契約では雇用期間に定めがなく、正社員と同様に安定した雇用が保証されます。
障害者雇用への影響
このルールは障害者雇用にも同様に適用され、以下の影響があります。
- 雇用の安定性が向上
長期間働き続ける意欲のある障がい者にとって、雇用の不安が軽減されます。 - 企業側の責任が増大
無期雇用となることで、企業はより慎重な雇用判断が求められます。適性を見極めるための試用期間や契約期間設定が重要です。
注意点
企業が5年ルールを回避する目的で頻繁に契約を中断させる行為は、法律違反となる可能性があります。障がい者の雇用環境を整えつつ、正当な契約管理を行うことが求められます。
企業が従業員を正社員に登用するタイミング
障害を持つ従業員が正社員になることは企業にとってデメリットばかりではありません。障がい者が正社員への登用によって、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上、離職率の低下、チームの安定性などのメリットがあります。
その上で、企業は従業員の業務適正の確認や職場環境の適応などをチェックして、正社員に登用するのが妥当かどうかを判断していくことになります。
まとめ
障害者雇用における契約社員の利用は、企業と従業員の双方にとって柔軟性やリスク管理の観点から重要な選択肢です。合理的な契約形態を選ぶことが、長期的な雇用安定につながるといえます。
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