障がい者雇用を促進するシェアードサービスのメリットとは?効率化と多様性の両立を目指して
障がい者雇用の特徴と現状
障がい者雇用は、企業が多様性を尊重し、持続可能な社会を実現するための重要な取り組みです。障がい者雇用促進法に基づき、一定規模以上の企業には法定雇用率が課されており、2024年度時点での目標値は2.5%です。これにより企業は、障がい者の採用を積極的に推進する必要があります。
しかし、実際の採用現場ではさまざまな課題があります。特に、障がい者に適した業務の割り当てや、職場環境の整備が不十分な場合が多く、これが障がい者雇用を進める上での大きな障壁となっています。また、精神障害や発達障害など新たに雇用義務が拡大した分野では、採用や職場定着のノウハウが十分でない企業も多いのが現状です。
シェアードサービスとは?
シェアードサービスは、企業やグループ会社が共通のバックオフィス業務を一か所に集約し、効率化を図る仕組みです。具体的には、人事、経理、総務などの業務をシェアードサービスセンターで一括して処理します。このモデルにより、以下のようなメリットが生まれます:
- コスト削減:業務を集約することで、各部門やグループ会社が個別に業務を行う場合に比べ、運営コストが低減します。
- 業務の標準化:業務プロセスを統一することで、作業の効率が向上し、品質も安定します。
- 専門性の向上:シェアードサービスセンターでは特定分野の業務に特化するため、担当者のスキルが向上し、より高品質なサービスを提供できます。
このように、シェアードサービスは企業の効率化とコスト削減に寄与するだけでなく、バックオフィス業務の生産性向上にもつながります。
シェアードサービスセンターにおける障がい者採用のメリット
シェアードサービスセンターは、障がい者雇用の場としても大きな可能性を秘めています。以下では、その具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
1. 法定雇用率の促進
シェアードサービスセンターで障がい者を採用することで、企業は効率的に法定雇用率を達成できます。特例子会社を設立しなくても、グループ全体で障がい者を雇用する仕組みが整えば、コストを抑えながら雇用目標を達成できます。
2. 特例子会社との違い
特例子会社は障がい者雇用を推進する有効な手段ですが、設立や運営にはコストや手間がかかります。一方でシェアードサービスセンターは、既存の業務を活用して雇用を進めるため、新たな施設設立の負担が軽減されるという利点があります。
3. 業務のマニュアル化と適応のしやすさ
シェアードサービスセンターでは、業務が標準化・マニュアル化されているため、障がい者にも適応しやすい環境が整っています。特に、同じ作業を繰り返すことが得意な特性を持つ障がい者にとって、このような業務は適性が高いと言えます。
4. スキル・経験の蓄積
人事や経理などのバックオフィス業務を通じて、障がい者は専門スキルを身につけることができます。また、リスキリングの制度を活用することで、簿記、FP(ファイナンシャルプランナー)、税理士、社会保険労務士などの資格取得にも挑戦できます。これにより、将来的なキャリア形成も可能となります。
5. 精神障害者や発達障害者の採用促進
障がい者雇用が進んでいない分野である精神障害者や発達障害者にとっても、シェアードサービスセンターは働きやすい環境を提供できます。業務内容が見える化されており、タスクが明確であるため、適応しやすい特徴があります。
6. 企業への貢献度の可視化
業務の見える化が進んでいるため、障がい者が会社に貢献している内容が評価しやすくなります。これにより、昇格や昇進の基準としても活用でき、障がい者のモチベーション向上につながります。
7. 割り振る業務が作りやすい
「障がい者に割り振る業務がない」という課題は、シェアードサービスを活用することで解決できます。バックオフィス業務の一部を切り出して障がい者に担当してもらうことで、雇用機会を創出できます。
シェアードサービス導入企業の事例
現在、多くの大企業がシェアードサービスを導入し、業務効率化と障がい者雇用の促進を両立しています。例えば、以下の企業がこの取り組みを進めています:
- 富士フイルム
- 塩野義製薬
- TIS
- SGホールディングス
- ヤマハ
- SOMPO
- NEC
- NTTグループ
これらの企業は、シェアードサービスセンターを通じて、バックオフィス業務の効率化と障がい者雇用の促進に成功しています。
まとめ:シェアードサービスの活用で障がい者雇用を拡大
シェアードサービスセンターは、障がい者雇用を効率的に進めるための有効な手段です。業務のマニュアル化や標準化を活かし、障がい者に適した業務を提供することで、企業と従業員の双方にメリットをもたらします。
当社では、障がい者採用の採用計画から採用戦略策定、採用後のフォローアップまで、一貫したサポートを提供しています。障がい者雇用に課題を感じている企業の皆様、ぜひご相談ください。