障がい者採用におけるジョブ型雇用の可能性とは?ハイブリッド型雇用の現状と課題を解説
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いとは?
雇用形態は主にジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用に分かれます。それぞれの特徴を理解することは、障がい者採用の最適な形を考える上で重要です。
ジョブ型雇用の特徴
ジョブ型雇用は、職務(ジョブ)を明確に定義し、仕事内容に応じた専門性やスキルが求められる雇用形態です。採用段階で「何をするか」が明確であり、個人のスキルや経験に基づいて採用されます。
- メリット:職務内容が明確で、スキルマッチングが容易。
- デメリット:専門性が高く、柔軟な配置転換が難しい。
メンバーシップ型雇用の特徴
一方、メンバーシップ型雇用は、職務内容よりも組織への貢献や柔軟性を重視します。入社時点では具体的な仕事内容が決まっておらず、企業内での教育やキャリア形成を通じて成長することを期待されます。
- メリット:配置転換が容易で、長期的な成長が期待できる。
- デメリット:スキルが曖昧な場合があり、適材適所が難しい。
障がい者採用におけるハイブリッド型雇用の現状
障がい者採用では、ジョブ型雇用に近いハイブリッド型雇用が主流です。その背景には以下のような理由があります。
採用プロセスとジョブ型雇用の近似性
多くの企業では、障がい者採用の求人票に管理部門やオープンポジションとしての募集が多く見られます。この場合、採用プロセスは以下のように進みます:
- 人事面接での適正判断
応募時点ではどの部門に配属されるか分かりませんが、初回の面接で適正や能力を見極めた上で配属が決定されます。 - 部門面接以降の流れ
配属部門が決まると、次の面接はその部門で働くことを前提に進みます。これにより、入社段階では担当業務が明確になります。
したがって、完全なジョブ型ではないものの、仕事内容が明確になる点でジョブ型に近い特徴を持つといえます。
ジョブ型雇用を採用する企業の事例
一部の企業では、障がい者採用においてジョブ型雇用を積極的に取り入れています。例えば:
- 東京エレクトロン
職種別の求人票を出し、応募段階で仕事内容や求められるスキルが明確です。地域別・職種別に分かれています。現時点で、法務部や知的財産部、ITオペレーション部などがある一方で、輸出・物流管理部など特殊な仕事も募集されています。しかも、オープンポジションも併用しており、積極的に障がい者採用を行なっています。 - 資生堂
明確な職務記載に基づいて、スキルや経験に合ったポジションにマッチングされます。資生堂でも、財務経理や法務、ブランドマーケティング、セールス、研究開発、経営戦略部など幅広い部門で募集中です。同社は法定雇用率を大幅に上回って採用しており、積極的に障がい者の活躍できる場を作っていると言えます。
これらの企業では、ジョブ型雇用の導入により専門性を重視した採用が可能になっています。
完全なジョブ型雇用が少ない理由
一般枠の中途採用ではジョブ型雇用へのシフトが進む一方、障がい者採用では完全なジョブ型雇用が少ないのが現状です。その理由は次の通りです:
- 履歴書や職務経歴書だけでは適正が判断しづらい
障がいの特性によってできる仕事が異なるため、書類だけで判断するのは難しい場合が多いです。 - 受け入れ体制の準備が必要
障がい者を受け入れるには、職場環境やサポート体制を整える必要があるため、柔軟な判断が求められます。
メンバーシップ型雇用が少ない理由
障がい者採用でメンバーシップ型雇用が限りなく少ない理由は、次のように整理できます:
- 障がい者の特性や能力に応じて適正な職務を見極める必要がある。
- 職務内容を曖昧にすると、入社後のミスマッチや早期退職のリスクが高まる。
障がい者採用では、柔軟性よりも「適材適所」が求められるため、メンバーシップ型は適していないと考えられます。
ハイブリッド型雇用が望ましい理由
ジョブ型雇用よりのハイブリッド型雇用が適している理由は以下の通りです:
- 適正判断が可能
最初に人事部で適正や能力を見極めることで、候補者の強みを最大限に活かせる。 - 受け入れ体制を柔軟に構築
部門ごとにサポート体制を整えた上での配属が可能。 - ミスマッチの防止
職務内容を明確にすることで、入社後のギャップを最小限に抑えられる。
まとめ:ジョブ型雇用の可能性を最大化するために
障がい者採用では、完全なジョブ型雇用よりも、適正や能力を見極めるプロセスを組み込んだハイブリッド型雇用が現実的かつ効果的です。
当社では、障がい者採用のプロセス全体を見直し、ジョブ型雇用を取り入れる際のサポートを行っています。採用の透明性を高め、適材適所での配属を実現するためのノウハウを提供しております。
障がい者採用の成功事例を生み出すために、ぜひ当社のサービスをご活用ください。