精神障害者に適した仕事とは?特徴に合わせた職種の選び方
精神障害者の雇用が義務付けられたのが2018年。それから精神障害者を採用・雇用する企業は増えているものの、企業にはまだ経験やノウハウがないのが現状です。企業によっては過去に採用した精神障害者で苦労したというところもあるかもしれません。
しかし、身体障害者の73%が65歳以上で高齢化が進んでおり、人材不足も相まって、それに代わる人材として注目されているのが精神障害者や発達障害者です。今後も精神障害者の採用・雇用でトライ&エラーで学んでいくしかないと思っています。
精神障害者の定着率は低く、1年後に半数が離職してしまいます。平均勤続年数も約5年です。少しでも長く働いてもらうために企業は精神障害者の特性を理解した上で、適切な環境を準備し、適した仕事内容を見つける努力が必要と考えています。今回は精神障害者に適した仕事内容をご紹介していきます。
精神障害の主な病気の特徴
精神障害は症状によって異なる特性を持つため、働きやすさも病状に応じて変わります。代表的な精神障害の特徴を以下にまとめました。
躁うつ病(双極性障害)
気分が高揚した「躁」と落ち込んだ「うつ」を周期的に繰り返すのが特徴です。日によって体調やエネルギーの変動が大きいため、状況に応じて働き方を調整できる職場が望まれます。
統合失調症
妄想や幻覚を伴うことがあり、集中力やコミュニケーションに難しさを感じることがあります。静かな環境やストレスの少ない職種で働くと、症状の安定が見込まれるため、重要です。
不安障害 (適応障害)
過剰な不安や緊張を抱え、社交的な場面で症状が強く出る場合があります。単独で行える業務や無理なく取り組める業務が適しています。
似た病気に適応障害もあります。適応障害はストレスによって日常生活や社会活動に困難が生じる病気で、うつ病と混同されがちですが、適応障害は原因がはっきりしている点に特徴があります。
精神障害者全体に共通する適性ポイント
マイペースにできる仕事
精神障害者は自分のペースを維持できることが大切です。過剰なプレッシャーや急な対応が求められると症状が悪化しやすいため、ゆったりとした環境が適しています。
柔軟な勤務形態
働き方に柔軟性があることも重要です。躁うつ病などの場合、体調の変動があるため、リモートワークやフレックス勤務など、働く時間や場所に融通が利くとより快適に働けます。
週に2回リモートワーク可能のような職場は増えていますが、個人的に望ましいのはその日の気分でリモートワークをするか出社をするか選べることです。勤務先では基本的に会議があったとしてもリモートで参加できるようになっているので、ほとんどは当日の気分で決めることができます。週2回リモートワークが可能ですが、この仕組みによって体幹として週3回リモートワークしていると同じくらいの効果を感じています。
対人折衝が少ない仕事
対人関係が多い仕事は精神的な負担を増大させるため、精神障害者には適さないことが多いです。対人折衝が少ない業務は、不安や緊張を軽減できるため、ストレスの少ない環境が得られます。
適度な休憩が取れる環境
障がい者の方にとって働きやすい環境として適度な休憩が取れるかどうかもあります。気分転換として1時間に10分くらい休憩できる環境があると望ましいです。
精神障害者に向いている仕事の種類
事務職
- 書類作成やデータ入力などが多く、対人対応が少ない点が特徴です。体調に応じてマイペースに作業しやすく、在宅勤務ができる場合も多いため柔軟に働けます。
事務職の具体的な例としては、経理や人事などがあります。経理なら経費を精査していき、伝票を計上していく作業で黙々とできますし、人事についても給与の支払い処理などは経理と似ています。どちらの仕事も在宅で可能な仕事です。
研究職
- 自分のペースで進められ、黙々と集中する作業が多い分野です。研究環境に応じてリモート勤務も可能で、対人関係が苦手な方でも働きやすい職種です。
エンジニア
- プログラミングやシステム開発などを行うため、対人対応が少ない傾向にあります。自分のペースでタスクを進めやすく、リモートワークも普及しているため、柔軟に働きやすい職業です。
フリーランス
- 業務内容やペースを自分でコントロールでき、時間に融通が利くため、体調に合わせた働き方ができます。得意な分野に集中できるため、心身への負担を減らすことができます。
在宅ワーク
- 在宅でできる仕事には、データ入力やカスタマーサポート、ライティングなど様々な種類があり、対人ストレスも少なく、通勤の負担がないため安心して働けます。
まとめ
精神障害者が安定して働けるためには、仕事内容や職場環境に対する適切な配慮が欠かせません。
当社の障がい者採用支援サービスでは、個々の特性に合わせた職種提案や定着率向上のためのサポート体制構築についてアドバイスを行っております。精神障害者の特性に合った働き方を提供し、長期的な定着をサポートすることが、企業にとっても従業員にとってもプラスとなると思います。