障害者雇用管理とは?法定雇用率達成ガイド。Excelで対応する企業が多い


雇用管理とは

雇用管理とは、従業員の募集から退職までに生じる一連の業務を指します。人事担当者にとっては最も重要な仕事のひとつであり、具体的には以下の業務を含みます。

  • 採用管理:求人票作成・面接設定・内定通知など
  • 配置管理:適材適所の人員配置や異動計画
  • 退職管理:退職手続きや引継ぎフォロー

似た言葉に「労務管理」がありますが、こちらは労働基準法や関連法規に基づき、労働条件・労働時間・福利厚生などを管理するものであり、雇用管理とは役割が異なります。

一般企業では、採用から人材配置、勤怠管理、社会保険手続きまでを支援する雇用管理システム(人材マネジメントシステム)を導入することが一般的です。システム形態にはクラウド型、オンプレミス型、パッケージ型、さらにはExcel管理などがあります。企業規模や業界によって最適なツールは異なり、Excelは中小規模企業や運用頻度が低い業務で根強く利用されています。


障がい者雇用管理の必要性

障がい者も雇用管理の対象ですが、障害者雇用促進法に基づき、一般の雇用管理とは別に「障がい者雇用管理」が必要です。法律では、企業に対して法定雇用率(現在2.5%)以上の障がい者を雇用する義務が定められており、これを遵守するためには以下のポイントを押さえる必要があります。

法定雇用率と算定方法

  • 常用雇用労働者:週30時間以上勤務する従業員
  • 短時間労働者:週20~30時間勤務の従業員を「0.5人」として換算
  • 障害等級の換算:身体障害者1級・2級は「2人分」、それ以外は「1人分」とカウント
  • 計算式法定雇用率2.5% × (常用労働者数 + 短時間労働者数×0.5) これを上回る障がい者数を雇用しているかをチェックします。

障害者雇用調整金・納付金制度

法定雇用率の達成状況に応じて、以下の助成・納付制度が設けられています。

  • 障害者雇用調整金:法定雇用率を上回った障がい者数×月額29,000円
  • 障害者雇用納付金:法定雇用率を下回った不足数×月額50,000円

年度単位(4月~翌3月)で集計し、5月15日までに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構へ申請します。これを怠ると、企業名公表などの制裁リスクがあります。


Excelによる障がい者雇用管理の実務

多くの企業では、Excelで障がい者雇用管理を行っています。その理由は以下の通りです。

  • 導入コストが低い:システム開発やライセンス費用が不要
  • 運用頻度が低い:年1回の集計のみで済む場合が多い
  • カスタマイズ自由度:自社独自の計算式を柔軟に組み込める

エクセルでの計算方法

  1. 従業員一覧シート
    • 氏名・雇用区分(常用/短時間)・障害等級を列で管理
  2. 換算人員シート
    • =IF(雇用区分="短時間",0.5,1)
    • =IF(等級="1級" OR 等級="2級",2,1)
    • これらを掛け合わせて「換算人数」を算出
  3. 雇用率シート
    • 常用労働者数合計+短時間労働者数×0.5
    • 上記×2.5%で必要人数を算出
    • 実際の換算人数と比較し、不足数を判定
  4. 助成・納付金試算
    • 上回り数×29,000円、下回り数×50,000円を自動計算

エクセル管理のメリット・デメリット

  • メリット
    • すぐに始められる:Excel環境さえあれば即運用可能
    • 自社に最適化:複雑な計算式やレイアウトを自由に設計
  • デメリット
    • 入力ミスのリスク:セル参照ミスやコピー漏れが発生しやすい
    • 共有・最新版管理の手間:ファイルのバージョン管理が煩雑
    • 監査対応が困難:操作履歴が残りにくく、証跡を示しづらい

企業が取り組むべきポイント

障がい者雇用管理をExcelからWebアプリへ移行する際、以下のポイントを押さえると成功率が高まります。

ロクイチ報告への対応

6月1日時点での実雇用率チェック(通称:ロクイチ報告)は、年度途中の進捗管理に必須です。

  • 不足数が5人以上の場合は「雇入計画」の作成義務
  • 2年間の猶予後も未達成なら企業名公表

このレポートを自動生成し、計画提出期限に確実に間に合わせる仕組みが必要です。

採用計画と定着支援

  • シナリオ比較機能で、3ヶ月後・半年後の雇用率シミュレーション
  • 採用チャネル多様化:直接募集、エージェント、紹介、再雇用のメリット・デメリットを活用
  • 定着フォロー:メンター制度や合理的配慮のアドバイスで離職防止

まとめ

  • 障害者雇用管理は法令遵守と企業リスク回避に不可欠
  • Excelは導入しやすい反面、ミス・共有・監査で課題あり
  • Webアプリ化により、自動化・共同編集・通知・ログ管理などが実現可能
  • ロクイチ報告助成・納付金申請を確実に行う仕組みづくりが重要

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