障がい者採用が難しい理由とその解決策|企業が直面する課題を乗り越える方法

障がい者採用に関するアンケート結果から見える現状

「障がい者雇用を推進する上で課題となっていることは何ですか?」というアンケートにおいて、企業から最も多く挙げられた回答は「採用が難しい」というものでした。この課題は全体の42.7%にのぼり、次いで「任せられる業務がない」「職場環境が整備されていない」などの理由が挙げられています。

(引用:「日本の人事部」2024/7/19)

具体的なアンケート結果を紐解くと以下のような傾向が見られます:

  • 採用が難しい:42.7%%
  • 任せられる業務がない:32.3%
  • 職場環境が整備されていない:31.1%
  • 定着が難しい:28.8%
  • 育成のための知識・ノウハウがない:24.5%
  • どの業務を任せていいのかわからない:21.1%
  • 従業員に障害者雇用への理解がない:17.8%
  • 体調管理が難しい:14.8%

このデータは、採用プロセスから職場環境の整備に至るまで、多くの企業が障がい者採用において様々なハードルを感じていることを示しています。

なぜ企業は障がい者採用を難しいと感じるのか

企業が障がい者採用を難しいと感じる理由は多岐にわたります。それぞれの背景について詳しく掘り下げていきます。

1. 採用ノウハウの不足

2018年の法改正により精神障害者や発達障害者の雇用が義務付けられましたが、これに対応するためのノウハウはまだ十分に浸透していません。特に精神障害者や発達障害者は、一人ひとりの特性や配慮すべき点が異なるため、既存の採用プロセスでは対応が難しいとされています。

当然ですが、業務マニュアルのように障がい者採用の手順書を作成することは難しいです。採用ノウハウを蓄積することができずに、良い人材を獲得した時の採用の再現性が難しいです。

2. 採用担当者の育成不足とモチベーションの低下

障がい者雇用の専門知識を持つ採用担当者は少なく、面接の進め方や配慮の方法について経験が乏しいケースが多くあります。また、障がい者採用が「成果が見えにくい業務」と認識されることから、担当者のモチベーションが低下しやすいことも課題です。

障害者雇用を支援する行政のサポートはあるものの、不十分であり、そういうサービスがあること自体知られていないのが実態です。そのため、初めて障がい者の採用担当を行う人間にとってはどのように採用するべきか分からないという側面があります。

3. 部門担当者の障がいに対する理解不足

採用においては、人事部だけでなく実際に業務を担当する部門の理解と協力が必要です。しかし、多くの企業では、部門担当者が障がい者について十分な知識や理解を持っていないため、選考段階での意思疎通が難しい場合があります。

4. 選考プロセスの非柔軟性

障がい者の能力や特性を把握するためには、選考プロセスの柔軟性が求められます。しかし、企業の多くは画一的な採用フローを採用しており、障がい者の特性に応じた変更が行われていないことが課題となっています。

5. 採用後のサポート不足

採用後に適切な支援やフォローが行われないと、障がい者が職場に定着することは難しくなります。「任せられる業務がない」という回答の裏には、企業側が障がい者の能力を十分に活用できていない現状が隠れています。

障がい者採用の難しさへの解決策

障がい者採用の課題を解消するためには、以下のような取り組みが効果的です。

1. 採用担当者のスキルアップ

採用担当者が障がい者雇用に必要な知識やスキルを身につけることが重要です。以下の施策が効果的です:

  • 定期的な研修:障がい特性や合理的配慮について学ぶ。
  • 成功事例の共有:他社の成功事例を参考に、採用プロセスを改善する。
  • 外部専門家との連携:障がい者採用の専門知識を持つコンサルタントを活用する。

2. 選考プロセスの柔軟化

障がい者の特性に応じた選考プロセスの変更を行うことが重要です。具体的には:

  • カジュアル面談の導入:応募者がリラックスできる場を設ける。
  • 複数回の面接:短期間で判断するのではなく、応募者を深く理解する。
  • 質問内容の調整:障がいの種類や応募者の状況に応じた質問を行う。

3. 採用担当者を採用後のサポートにも従事させる

基本的に、人材採用では採用と入社後のサポートは別の担当者が行うことが一般的です。しかし、障害者雇用では定着率の低さが問題の一つとなっている上に、採用した障がい者が十分に会社に貢献しているかどうかを知るために、採用担当者を入社後のサポートに従事させる方法があります。これによって採用担当者のKPIを採用数だけでなく、従業員の定着率などを設定することで、より定着率の高い、優秀な人材を見つけようと採用担当者のやる気になるのではないでしょうか。

4. ジョブマッチングの強化

採用後のミスマッチを防ぐためには、業務内容を細分化し、応募者の特性に合ったタスクを割り当てることが重要です。業務の割り出しを人事だけで行うのではなく、部門の担当者と協働で作業することで障がい者に合った仕事を見つけることができます。

5. 職場環境の整備

障がい者が働きやすい環境を整えることも重要です。具体的には:

  • 合理的配慮の実施:勤務時間の調整や設備の導入。
  • メンター制度の導入:職場での悩みや課題を相談できる環境を提供。

6. 企業全体での意識改革

採用担当者だけでなく、部門担当者や経営層にも障がい者雇用に対する理解を深めてもらう必要があります。具体的には:

  • ダイバーシティ研修の実施:全社的に障がい者雇用の意義を共有。
  • 成功事例の共有:社内での障がい者雇用の成功事例を紹介し、理解を促進。

まとめ:障がい者採用の未来を切り拓くために

障がい者採用は、企業にとって難しい課題である一方で、適切な取り組みを行えば大きな可能性を秘めています。当社では、採用計画から採用戦略、採用方法の支援まで一貫してサポートしています。障がい者採用に課題を感じている企業の皆様、ぜひご相談ください。