障がい者向けの給与体系の是非と業務内容に基づく公平な算出方法


障がい者専用の給与体系は法的に問題?

障がい者の給与体系を一般社員と別に設けることは、 障害者雇用促進法 における「不当な差別的取り扱い」に該当する可能性があります。同法では、採用や配置、待遇において障がい者を不利に扱うことを禁止しており、給与もその例外ではありません。

業務の内容と給料の関係については「同一労働・同一賃金」という原則があります。これは同じ仕事をしている従業員には同じ水準の賃金が支払われるべきというもので、ILO (国際労働機関)の憲章にもある基本的な人権です。

仮に障がい者専用の給与体系を作成する場合でも、法律上の適合性を確認し、 合理的配慮 の観点からその妥当性を明確にする必要があります。特に「障がいがあるから」という理由だけで一律に給与を低く設定することは、不適切とみなされるリスクが高いです。


業務内容に基づく給与算出がフェア

給与設定の基本は、 業務内容と責任範囲に応じて決定すること です。具体的には、以下のポイントを基準とすることが推奨されます:

  1. 職務評価
    業務の内容や成果、難易度を公平に評価し、給与水準を設定します。
  2. スキルと経験
    障がいの有無にかかわらず、個々のスキルや経験が評価されるべきです。
  3. 成果報酬型の導入
    障がい者も健常者も同一の基準で成果を評価し、インセンティブを提供することでモチベーションを高めます。

例えば、事務作業を主とするポジションであれば、タスクの正確性やスピードが評価基準となり、給与もそれに応じて設定されます。

外資系投資銀行で働く私の例

私は外資系投資銀行の人事部に障害者雇用で勤務しています。給与は抜群に良いです。イメージで言うと、毎月ボーナスのような金額を貰っている感じです。これまで一般枠で大手企業に勤めてきましたが、今もらっている給与はそれ以上です。

外資系投資銀行においては障がい者でも年収1000万円以上貰うことは十分に可能です。あくまで投資銀行ではジョブ型雇用なので、業務内容に応じて給与が設定されています。仕事内容がより健常者よりもハイレベルであれば給与もそれに比例して高くなっています。

私が転職活動していた時に外資系コンサルで言われたのは、給与を障がい者という理由で差別することはないという企業がありました。正直、日系企業では給与水準が大幅に低く設定されている傾向も見られますが、外資系企業は比較的給与が高いのが特徴です。これは外資系企業で障がい者が働く大きなメリットの一つです。詳しくはこちらをご覧ください。


障がい者雇用での課題と解決策

給与設定の課題は、障がい者が従事する業務の多様性にあります。すべての業務に一律の給与基準を適用するのではなく、以下のような工夫が重要です:

  • 業務内容と給与の連動性を強化
    障がい者が担う具体的な業務の成果を反映させた給与体系を構築します。
  • 透明性のある給与体系
    社内での説明責任を果たし、障がい者と健常者の双方に公平感を与えます。
  • 助成金の活用
    給与設定を補助するために、障害者雇用に関連する助成金を積極的に活用します。

まとめ:給与体系の設計は公平性がカギ

障がい者の給与設定において重要なのは、 業務内容と能力に基づく公平な評価 です。不当な差別を防ぎつつ、合理的配慮を行うことで、障がい者が働きやすい環境を提供できます。

当社では、障がい者雇用に関する 給与体系の設計や雇用制度の改善を支援 しています。障がい者雇用をより効果的に進めたいとお考えの企業は、ぜひご相談ください。