初めての障害者雇用で企業が準備すべきポイントとは?法令遵守と雇用形態の選択を解説
障がい者雇用は企業にとって重要な社会的責任であり、法令に基づいて適切に行うことが求められます。初めて障がい者を雇用する企業に向けて、まず理解すべき雇用制度の基本から、適切な雇用形態の選択までを詳しく解説します。
障害者雇用の基本概略:法定雇用率と雇用促進法の概要
障がい者の雇用は、日本において障害者雇用促進法に基づいて義務付けられています。この法律により、企業は一定の割合で障がい者を雇用することが求められており、この割合は法定雇用率として定められています。
- 法定雇用率とは、従業員数に対する障がい者の割合を示したもので、企業の規模に応じて適用されます。現在、民間企業では2.5%の雇用率が義務付けられており、企業規模によっては未達成の場合に罰則が課せられることもあります。
- 法定雇用率を満たすためには、ただ採用を行うだけでなく、障がい者が安心して働ける職場環境を整えることも求められています。
これらの法令の理解を深め、適切なサポート体制の準備を行うことが、障がい者雇用の第一歩となります。
障がい者向けの求人形態:メンバーシップ型とジョブ型の選択肢
メンバーシップ型雇用が主流となる背景
障がい者向け求人では、メンバーシップ型雇用が主流です。これは、候補者を先に確保してから、入社後ないし選考過程で仕事を割り当てる方式であり、多くの企業が採用しています。その理由として、障がいの状況が個人によって異なるため、入社前に具体的な仕事を確定するのが難しいという点が挙げられます。
- メンバーシップ型雇用では、一般的な事務や管理部門などのオープンポジションでの募集が多く、選考段階で候補者の経験を制限しないため、幅広い応募が期待できます。
- 障がい者の能力や特性に応じて職務を調整できる点も企業にとってメリットとなり、障がい者雇用ではメンバーシップ型が多く採用されています。
ジョブ型雇用との違い
一方、一般の中途採用ではジョブ型雇用が主流です。ジョブ型は、特定の職務内容を前提に求人を出し、専門スキルを持つ人材を採用する形態です。障がい者雇用においても、企業のニーズや候補者のスキルに応じてジョブ型を取り入れるケースが増えており、特定の役割にフィットする人材を採用するための方法として有効です。
初めての障がい者雇用におすすめの「ジョブ型雇用」
初めて障がい者を採用する企業には、ジョブ型雇用をおすすめします。ジョブ型であれば、求人内容が具体的で明確なため、企業側も必要な準備が行いやすく、また候補者の選考もスムーズに進めやすいです。
- 仕事内容が決まっていることで、求人の内容も明確にできるため、企業としても事前準備がしやすくなります。
- 条件を明確に絞り込むことで、ミスマッチが少なくなるため、採用後の定着率も高めやすく、選考プロセスの負担も軽減できます。
- もし候補者が集まらない場合には、求人内容を再度精査し、給与や福利厚生、仕事内容などの条件を再定義することで、より魅力的な募集内容に変更することが可能です。
また、サポート体制が整ったポジションでのジョブ型雇用は特に適しており、初めての障がい者雇用に際しても安心です。人的リソースが豊富なポジションでのサポートが取りやすいため、メンター制度やフォローアップ体制が用意でき、3ヶ月や半年間のメンター制度を設けることで障がい者社員が円滑に業務に馴染みやすくなります。
ジョブ型雇用で参考になる例をご紹介します。
- 東京エレクトロン
- 資生堂
これらの企業は複数の部門で募集を行なっています。ポジションごとに仕事内容がしっかりと定義されており、必要なスキルや経験も明確になっているので、候補者は迷うことなくエントリーすることができますし、企業にとってはマッチした候補者の選考に専念することができます。初めて障害者雇用を行う企業はこれらの企業を参考にすると良いと思います。
まとめ:安心して障がい者雇用をスタートするために
初めての障がい者雇用では、法令遵守や適切な雇用形態の選択が重要です。まずはジョブ型雇用で具体的な職務内容に基づく採用を行うことで、企業側も必要なサポート体制や環境整備をスムーズに進められます。
障害者雇用で困ったことがあったら最寄りのハローワークに頼ると良いです。障害者の雇用状況などを提出先もハローワークで、障害者雇用の窓口となっているので色々と相談に乗ってくれます。障がい者採用を行う当事者として、初めて障害者雇用納付金の申請を行う時には何度も相談に乗ってもらいました。
弊社の障害者支援サービスでは初めての障害者雇用の導入もサポートしています。障害者雇用を義務として考えるのではなく、会社の戦略として障害者を向い入れると良いです。