障がい者雇用の最適な雇用形態とは?企業が知るべき正社員・契約社員・業務委託の選択肢と現状
企業が障がい者の雇用を促進する際、雇用形態の選択は大変重要な決断です。この記事では、障がい者の雇用において主に用いられる正社員・契約社員・業務委託の雇用形態について、現状の傾向やリスク管理の視点からご紹介します。
障がい者の雇用形態の種類:正社員・契約社員・業務委託
正社員
正社員は、無期限で安定した雇用を提供できる形態です。障がい者雇用においても、定着率を重視する場合や、優秀な人材を確保したい場合に有効です。ただし、一度採用した後の雇用の維持が求められるため、企業にとっても慎重な判断が必要です。
契約社員
障がい者雇用で最も一般的に用いられるのが契約社員です。一定の期間で契約が更新される形態で、企業がリスクを抑えやすいメリットがあります。企業側は、業務の適性や職場への適応を見極めやすく、必要に応じて契約更新を行わないことで、負担の少ない雇用形態が可能です。
業務委託
業務委託は、企業との雇用関係を持たずに業務単位での契約を行う形態です。特定のスキルが必要な業務や、企業の通常業務とは異なるプロジェクトベースでの仕事に適しています。ただし、企業の雇用責任がないため、雇用率の算定には含まれないことが一般的です。
現在の障がい者雇用の状況:契約社員が中心となる背景
現在、障がい者の雇用形態では、契約社員が圧倒的に多く採用される傾向にあります。これは、企業側のリスク管理の観点から合理的な選択とされています。
企業は、まず契約社員として雇用することで、職場環境や業務内容への適応度を確認しやすくしています。また、契約社員であれば契約更新を行わないことで容易に雇用を終了できるため、負担の軽減につながります。反対に、正社員の場合、雇用を止めることが困難であり、リスクが大きくなります。
さらに、契約社員からスタートする場合、企業によっては3年までの有期契約であるケースもあれば、正社員への登用制度を設けている企業もあります。こうした制度を活用することで、障がい者が職場に適応し、スキルを高めるまでの期間を設けた上で、正社員登用の判断が可能です。
障がい者採用における正社員登用制度の導入メリット
企業におけるリスク管理としての契約社員採用
企業にとって、契約社員はリスク管理の一環として採用しやすい形態です。業務の適応度や定着度を確認する期間を設け、業務に適しているかどうかを判断できます。正社員登用前に業務習得をサポートすることで、企業と社員の双方にとって安定した雇用関係が構築されやすくなります。
正社員登用制度の導入によるメリット
しかし、優秀な障がい者人材を確保し、定着率を高めるためには、正社員登用制度の導入が有効です。企業が求人ページに正社員登用の機会を明示することで、障がい者の応募者に対して将来の安定性やキャリアパスを示すことができます。これにより、障がい者の採用競争力を高めることができ、長期的な定着にもつながります。
正社員スタートが望ましい場合と柔軟な対応
全ての障がい者が契約社員からのスタートが適しているわけではありません。特に、前職が同業他社で経験が長い場合や、ジョブ型ポジションの経験が豊富な場合には、正社員からの雇用が妥当です。このような人材は他社からも注目されているため、同業他社と競争する際に劣らない条件を提示することで優秀な人材を確保しやすくなります。
勤務先の投資銀行では契約社員から正社員に登用できた
勤務先の外資系投資銀行での雇用形態は契約社員からのスタートでした。選考段階では契約社員で働き始めると聞いていただけで、正社員への登用制度があるかどうかも知りませんでした。会社に入社してからも登用制度については規則などに書かれていないので、実際に登用されるまでずっと不安でした。
だから、入社して半年後に正社員に登用されるのは驚きでした。一般的には正社員への登用が前提となった契約社員でも正社員になるには1、2年程度の時間がかかるところも多いです。それを考えるとかなりスピーディーなジャッジだったと思います。これができたのも投資銀行の独特な慣習によるところがあったのかもしれません。
働く人間としては半年で正社員になれたことは満足ですが、会社目線で考えると正社員登用は早すぎたのでは?と考えています。柔軟な運用が必要ですが、従業員の解雇はハードルが高く、おまけに給与が高い場合には慎重になるべきだったのかなと第三者的には考えています。
まとめ:障がい者雇用における適切な雇用形態の選択
障がい者の雇用形態の選択は、企業のリスク管理や採用競争力に大きく関わります。一般的には、契約社員からのスタートがリスクを抑えやすい一方で、優秀な人材を確保し、定着率を高めるためには正社員登用制度を設けることが効果的です。
また、経験豊富な人材に対しては正社員での採用を検討するなど、企業の柔軟な対応が必要です。障がい者の雇用支援サービスでは、選考プロセスや質問内容の見直しを行い、企業と候補者が納得のいく雇用形態の選択をサポートしています。