障がい者の職場定着の課題|離職率を減らすためには
障がい者の採用は、企業にとってダイバーシティ推進や社会的責任を果たす上で非常に重要です。
しかし、障がい者の定着は依然として大きな課題となっています。障がい者職業総合センターの調査によると、就職後3ヶ月での定着率は76.5%、1年後には58.4%と、定着率が大幅に下がる結果となっています。これは一般社員と比較しても低い数値であり、障がい者が職場に定着できない理由があることが示されています。
障がい者が職場に定着しない理由
障がい者が職場に定着しない理由は多岐にわたりますが、主に職場の環境やサポート体制の不足が影響しています。具体的には、以下のような要因が障がい者の離職に繋がることが多いです。
1. 職場の雰囲気や人間関係が合わない
職場における雰囲気や人間関係が原因で、障がい者が定着できないことはよく見られます。コミュニケーションのギャップや、合理的配慮が適切に行われていないことが、障がい者の心理的な負担を大きくしています。職場の理解不足や無意識の偏見により、障がい者が居心地の悪さを感じるケースも少なくありません。
2. 賃金や労働条件に対する不満
障がい者は、賃金や労働条件に不満を感じて離職することもあります。十分な給与や適切な労働時間の確保がされていない場合、特に生活の安定が困難になることから、より良い条件を求めて転職を選択することが多いです。
3. 仕事内容が期待と違う
採用時に期待していた仕事内容と実際の業務が異なる場合、仕事内容に対する不満が生じます。特に、障がいに対する配慮が十分に行われず、業務負担が過度に重い場合や、逆に簡単すぎて成長機会がない場合など、仕事内容のミスマッチが定着率に影響を与えます。
障がい者の定着率を上げるための方法
障がい者の定着率を向上させるためには、企業側の取り組みが重要です。障がい者が長期的に活躍できる環境を整備するために、以下の具体的な方法が有効です。
1. 職場の理解とサポート体制の強化
職場全体での障がい者に対する理解とサポートが不可欠です。社内での教育プログラムを導入し、障がいに対する理解を深めることで、コミュニケーションギャップを埋め、職場全体の雰囲気を改善できます。また、障がい者が気軽に相談できる相談窓口の設置や、メンタルヘルスケアの提供も定着率向上に役立ちます。
2. 賃金や労働条件の適正化
障がい者も他の従業員と同様に、適切な賃金や労働条件を提供されるべきです。合理的配慮に基づいた業務内容の調整を行い、生活に安定をもたらすような賃金設定や、無理のない労働時間を設定することで、離職リスクを大幅に減少させることができます。
3. 業務内容の調整と成長機会の提供
障がい者が自身のスキルや強みを発揮できる業務を担当することが、職場定着に繋がります。定期的な業務内容の見直しや、成長機会を提供することで、障がい者が職場での役割にやりがいを感じ、長期的に働き続けるモチベーションを保てる環境を作りましょう。
私の合理的配慮は業務のマニュアルと面談
私自身、会社でどのような合理的配慮を与えてもらっているかというと、仕事のマニュアル化、上司との定期的な面談です。
転職活動していた時には会社に、口頭での指示は理解できないので文字情報で欲しいということと、定期的に相談できる場が欲しいと伝えていたので、伝えていた通りに対応してくれています。
担当している労働時間の管理の仕事を教えてもらう時にはかなり細かいマニュアルを作成してもらい、何ヶ月もかけて教えてもらいました。ほぼ自分でできるようになりましたが、今も先輩社員はチェックしてくれています。ケアレスミスが多い自分にとって本当に感謝しかないです。
また、人事部で2番目に偉い方がメンターについてくれて月に2回面談の場を設けて、相談に乗ってくれています。細かな仕事の質問をすることもあれば、入社時に聞いた組織の話や部門の特徴などを改めて教えてもらうなどをしてもらっています。最近ある仕事の責任について突然、私が引き継ぐことになりそうな時があったのですが、私のメンターが全力で守ってくれて、部長や他のマネージャーと業務の調整をしてくれました。また、外国人の部長とも月に2回面談をしているので、立場が高い人と毎週面談をしている仕組みになっており、本当に心強いです。
この他にも、仕事を引き継ぐスピードをスローにしてくれています。
おそらく一般社員なら半分の時間で引き継ぎ、その後はフォローをしないのかなと思いますが、時間をかけて指導してくれています。せっかく文字情報で指示してもらっても早過ぎでは追いつけていけないのでこの仕組みにもありがたく思っています。
まとめ
障がい者の定着率を上げるためには、職場のサポート体制の強化、賃金や労働条件の適正化、業務内容の調整といった具体的な施策が必要です。障がい者が職場で安心して働き続けられるような環境づくりを行うことで、企業は優秀な人材を長期的に維持でき、ダイバーシティの促進や持続的な成長を実現できます。企業にとっても、障がい者が活躍できる環境を整えることが、組織全体の発展に繋がるでしょう。